英国で悪徳金融業者に規制 ―99%が倒産か
(週刊「エコノミスト」10月28日号のワールドウオッチコラムの筆者担当分に補足しました。)
英国で最近注目を浴びているのが、大手金融機関から融資を受けられない人が利用する「給料担保金融業者」(ペイデー・レンダー)の動向だ。次の給料日(ペイデー)までの短期小口融資を高利で行う金融業者のことを指す。もともとは米国で始まったが、20年ほど前から英国でもサービスを開始した。
ペイデー・レンダーは2008年の金融危機後、利用者が大きく増えている。米国の場合は金利の限度が40%ほどに設定されているが、英国では無制限となっており、約400社の中で年率5000%を超える金利を課する業者もある。
急激に増える負債に悩む人が続発し、金融当局が取り締まりに乗り出した。英金融行動監督機構(FCA)は来年から金利に一定の限度を課す予定で、10月2日、レンダー業の最大手ウオンガ社が「FCAとの協議の上」、顧客33万人分、金額にして2億2000万ポンド(約384億円)の負債を損金処理とすると発表した。
「金」(wonga)を意味する社名をつけたウオンガは数々のテレビコマーシャルで著名になったが、10月10日、英広告基準機関が広告内に最大で「5853%の年率の金利が課されること」を明確に表示しない場合、コマーシャルの放送を禁じると宣言。去る4月、ウオンガは人形姿の老人たちが談笑する様子を描くコマーシャルに高額金利の明示がないとして、放送禁止を通告された過去がある。半年間、同社はテレビ広告を自粛していた。
FCAは来年1月から金利限度を1日あたり0.8%前後に設定する予定だが、これが実行された場合、国内の給料担保金融業者の99%以上が倒産するだろうと予測している(英フィナンシャル・タイムズ紙、10月4日付)。ただし、市場の70%を占める3大業者(ウオンガ、クイッククイッド、ダラーファイナンシャル)は生き延びるといわれている。