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【注意】メタップスペイメントを騙る偽メールは現在、確認されていません。早くも出た!いいえ、違います。

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(提供:イメージマート)

先日、企業から株式会社メタップスペイメントなどを騙った偽のメール、SMSが出てきているので注意するようにとの情報が流され、一部、ニュースにもなりました。

今回の大量のカード情報等の流出の不安に乗じて、カード情報や個人情報を盗み取ることを目的としたフィッシング詐欺につながる恐れがあるというものでした。

「お客様のクレジットカード情報が漏えいしている可能性がある」「あなたのカード情報が不正に使用されているので、至急カードを停止する」といった文言で、クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコード等をご入力させようとするので、注意を促すような内容になっています。

注意喚起をなされる企業は、メタップスペイメントの決済を利用されていたところで、カード利用者のことを考えて、すばやい情報開示をして下さったのだと思います。非常にありがたいことです。

しかし、こうした偽のメール、SMSの存在は3月3日現在、確認できていません。

筆者も先月28日に、メタップスペイメントに取材をしてニュースを報じたばかりで、人づてにこの同社を騙る偽のメールの存在の情報を聞き、”4日ほど経っただけで、もう出回っているのか!”と、大変、驚きました。

そこでまず、家に帰り、当方の複数のメールボックスを見て、じっと待っていましたが、まったく届きません。こうしたメールやSMSは一斉に送られますので、SNSなどにも、すぐに画像はあがるはずですが、それもみられません。

この時点で、ちょっと「?」と思いました。

そこで、情報を発信する企業に確認しました。

すると、この情報は自社に寄せられたものではなく、一般社団法人クレジット協会から伝えられたものであることがわかりました。

同社団法人に話を伺うと「今後、起こり得ることを想定して、注意をしてほしいとの趣旨で出しました」とのことです。

あくまでも、これは一般社団法人クレジット協会から会員会社(クレジット会社)に向けて、今後想定される注意情報として出されたものです。

メタップスペイメントを騙る、偽メールやSMSは3月3日現在で、確認できていないことがわかりました。

情報とは怖いもので、「想定」などで伝えたはずが、それがどこかで、本当に出回っているもののように伝わってしまうことがあります。

実は、詐欺の案件では「ない」のに「ある」という情報が出回ることがよくあります。筆者も過去に、人づてに聞いた存在しない情報に振り回されたこともあります。それだけに、詐欺関連の情報の確認、発信にはより注意が必要だと日頃、考えています。

ただでさえ、大量のカード情報流出や不正利用への不安が高まっているなかで、さらなる不安を利用者の側に与えることにもなりかねませんので、あくまでもこれは「想定されることへの注意喚起」であることを、すばやくお知らせいたしました。

今後の便乗詐欺には警戒を

ただし、詐欺は事件や事故の不安に便乗してくるのが特徴ですので、今後、充分に起こり得ることだと思います。ですので、同社団法人が会員会社に送ったような想定での注意はとても大事になります。そしてすばやく注意を促してくださった企業姿勢も、とても評価できるものと考えています。

ただし、そこに「ない」はずものが「ある」ように流されてしまった点だけは、注意すべきことです。

もし今後、こうした偽メールやSMSが届いた時には、そこに載っているURLをタップせずに、カード会社や警察への通報をお願い致します。

今も、メールボックスを見ていますが、そうした内容のものは届いていません。

実際にメタップスペイメントを騙るメールやSMSが届いたり、そのような情報が寄せられたりすれば、真偽を確かめたところで、改めて注意の記事を発信できればと思います。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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