プロテニスプレーヤー・土居美咲が、現役引退を表明。9月に現役最後の戦いへ挑む!
左利きのダイナミックなフォアハンドストロークを武器にしてワールドプロテニスツアーで、2010年代を中心に長年活躍し、多くのテニスファンを魅了してきたプロテニスプレーヤー・土居美咲(WTAランキング300位、8月21日付)が、9月下旬に開催される東レパン・パシフィックオープンテニスを最後に、現役を引退すると発表した。32歳での決断となった。
昨年から腰のけがに悩まされてきた土居は、特にサーブを打つ時に腰に負担がかかったという。サーブフォームの改善も試みた。手術をすることも相談したが、医者からは手術をしても再発があり得ると説明された。
「高いレベルでのプレーが難しい状態になって、引退を決意しました」という土居だが、実は、昨年末には、まだまだ自分のテニスは上手くなれると向上心を前面に出していた。ただ、WTAランキングは200位以下に落ちて、今季ツアー下部のITFサーキットでの戦いを強いられていた。
「もちろんランキングが落ちてしまったんですけども、自分の心は落ちていなかったですし、正直、腰のけががなければあと2年ぐらいはやっていたかなという、何となくの気持ちもあった。自分のテニスのレベルを考えると、1回戻ったこともあるので(土居は2017~2018年シーズンはトップ100から陥落し、2018年6月に328位まで落ちて引退がよぎったことがあったが、2019年シーズンにトップ100にカムバックしたことがある)、そういう意味ではまた戻れるだろうと自信もあった。もちろんITFの連戦は難しい部分ではあったんですけど。自分の中では、腰のけががなければ、もうちょっとできたなと何となく思ったりしています」
引退を決めたのは、6月にチェコで開催されたITF6万ドル大会(6/12~18)を準優勝で終えた後だった。
「決断したのは、6月あたりですかね。ただ、4月頃に、インドとキャンベラのITFの4週間の遠征から戻った時に、かなり腰の状態が、今戦うのは難しいかなというのはありました。4月に長めの練習期間を設けて、もう少し体を強化しようという取り組みをしました。その時に、サーブの改善にも取り組んだ。練習していく中で、なかなか競技レベル、高いレベルでずっと戦うのは難しいと。次のヨーロッパの遠征(4大会)でどうするか決めようと出発しました。最終的に決めたのはその遠征の後という感じですね。相談したのは、トレーナーの猪飼(美里)さんと遠征先から電話したくるみです」
土居の引退への気持ちを聞いた奈良くるみさんは、「気持ちは十分わかるので、彼女の話を聞いて、みっちゃん(土居)が最後まで悔いのないように」と伝えたという。
千葉県出身の土居は、2008年12月に17歳でプロへ転向した。土居の同期には、ジュニア時代に日本で数々のジュニアタイトルを獲得した奈良くるみがいた。プロになってから2人は切磋琢磨していくことになる。その奈良さんは昨年引退したのだが、土居の引退会見にサプライズで駆けつけ、花束を贈った。奈良さんは、土居との関係を笑顔で振り返り、最後のエールを送った。
「初めてあいさつしたのは、12~13歳で、こんな人見知りの子とは仲良くなれるはずはないというぐらいでした。本当にずっといいライバル関係でした。もう少しみっちゃんの応援をしたいなと思っていましたが、これからみっちゃんもテニス界に貢献してほしいなと思います」
プロ転向後の土居は、2010年ローランギャロスで予選から勝ち上がって、19歳でグランドスラム本戦デビュー。これがツアーレベルでのデビュー戦にもなった。2012年11月に世界のトップ100入りを果たす。さらに、2015年にWTAルクセンブルク大会で嬉しいツアー初優勝を飾った。また、ダブルスでは、2014年WTAイスタンブール大会(withエリナ・スビトリナ)と、2019年WTA広島大会(with日比野菜緒)で優勝している。2016年ウィンブルドンではベスト16に進出して、土居のハイライトの1つとなった。グランドスラム本戦には36回出場し、WTAランキングは自己最高で30位(2016年10月10日付)を記録した。
また、日本代表メンバーにも選ばれて、女子国別対抗戦フェドカップ(現ビリー ジーン・キングカップ)やオリンピックでプレーをした。
「日本でぜひ最後を迎えたい。やっぱり自分がWTAの舞台で戦ってきたというところもあるので、そのような大会で終わりたいという思いがある。ぜひ最後まで応援していただけたら嬉しいです」と語る土居は、本戦ワイルドカード(大会推薦枠)を獲得して木下グループジャパンオープン(WTA250、9/11~17)と、予選ワイルドカードで東レパン・パシフィックオープン(WTA500、9/25~10/1、予選9/23~24)でプレーする予定で、現役最後の戦いへ挑む。
「どのぐらいのプレーができるか自分でもわかりませんけど、とにかく自分が今できるすべてをコートで出そうという思いでプレーをしようとは思っています。そして、今まで応援してくださった方たちの前で自分が必死に戦う姿を見てほしい」