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夫婦世帯などの買い物生活、半世紀に渡る変化をたどる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ デパート、百貨店は今でも生活を支える存在に違いは無いが

人々は日々の生活でさまざまな物品やサービスを消費していく。その消費先は時代の流れ、流行り廃り、商体系の変化と共に変わっていく。その実情を二人以上の世帯に関して、総務省統計局の定点観測調査「全国消費実態調査」の結果から確認していく。

今回検証するのは、二人以上世帯(夫婦世帯が主になる)における消費支出(税金や社会保険料(=非消費支出)をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)の支出先の推移。現時点では1964年以降5年単位での値を確認できる(一部不連続な部分あり)。なお購入先区分のうち「百貨店」は事実上デパートと同じ。

また直近の2014年分の全国消費実態調査の消費支出金額における購入先の調査結果では、多分の額が「その他」に割り振られる不可解な数字が計上されている。不具合が生じている可能性が高いため、参考値として「その他」を除いて再計算し、検証はその参考値を前提に行うことにする。

↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合推移(二人以上世帯)(参考値:「その他」を除いて再計算)
↑ 世帯主年齢階級別の消費支出金額購入先割合推移(二人以上世帯)(参考値:「その他」を除いて再計算)

まず目に留まるのが「一般小売店の減少と、スーパーや1990年代以降のディスカウントストア・量販店の増加」。大型スーパーやコンビニ、昨今ではディスカウントストアや100円ショップの進出と、消費性向の減退で、普通の小売店がビジネス的に立ち行かなくなり、近所の店がシャッターを閉じる場面が増えてきたのが一因。そしてそれらの店と比べて大型店などの方が安く、まとめて買物ができるので、そちらに足を運ぶようになったのも大きい。

また「ディスカウントストア・量販店」は日本国内では1990年代以降に登場し、割合の漸増を始めている。これについては1994年分より前は調査の上で区分そのものが存在しなかった(=区分する必要が無いほど少数派だった)のも一因だが、それ以上に大店法の規制緩和、独禁法絡みの問題、消費者の消費性向の変化によるものと見た方が道理が通る。なお直近2014年分では前回調査から割合を減らしており、トレンドの転換の気配が感じられる。一時的な可能性もあるが、注意深い動きには違いない。

さらに「ディスカウントストア・量販店」と同じようにまとめ買いが可能にも関わらず「百貨店(=デパート)」の割合が減っているのは、価格的な問題に寄るところが大きいと思われる。また絶対数が少ないことから、回答者の近場に無い=利用できない=消費金額が下がるのも原因だろう。あるいは逆に「ディスカウントストア・量販店」が浸透してきたからこそ、「百貨店」のシェアが食われていると考えた方が自然かもしれない。

そして気になるのはコンビニに関する動き。単身世帯では「コンビニ」の利用率は年々増加し、若年層では支出金額の1割を超える値を示している。しかし二人以上世帯では(世帯主の世代区分では無く全体であるのも一因だが)直近の2014年でも全金額の3.0%しか利用されていない。世帯向けの買い物においてまとまった量・金額の買物が多い二人以上世帯では、「コンビニ」の必要性はさほど高くないことになる。とはいえ、少しずつ比率が増加しているのも事実ではある。

まとめると、二人以上世帯の消費生活上の買物先としては

・買物の主体は「一般小売店」メインから多様化へ。

・「スーパー」がメインで「一般小売店」は少しずつシェアを奪われている。

・「百貨店」は漸減。

・新興勢力の「ディスカウントストア・量販店」「コンビニ」「ネット通販」は少数派だが確実に数字を伸ばしている。

などとなる。やはり一番の大きな動きは、この半世紀近くの間に二人以上世帯の買物先が多様化し、「一般小売店」の立ち位置がかなり弱くなったこと。「一般小売店の数が減ったので、消費割合が減った」「消費割合が減ったので、採算がとれない一般小売店が店を畳んで数が減った」どちらが先のみではなく、双方が漸次・連鎖的に起きたと見るべきだろう。

今後各項目の動きが同じ傾向を示すのなら、「一般小売店は1/4程度にまで落ち込む」「スーパーは過半数へ」などの変化がこの10年前後に起きるはず。一方で単身世帯にも言えることだが、いわゆる「買物困難者」の増加により、「購入先割合」の推移もこれまでとは違う流れを見せる可能性も否定できない。

日常生活を支える小売店のスタイルが今後いかなる変化をとげるのか、今から気になるところではある。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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