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【画像公開】「総理のご意向」文書ー内閣府ゴリ押しに困惑する文科省、加計学園ありきで強行スケジュール

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
いわゆる「総理のご意向」文書。赤い網かけは筆者によるもの。

安倍晋三総理大臣の友人が理事長の「加計学園」の獣医学部を愛媛県今治市に新設する計画について、朝日新聞が報道、野党がその存在について追及している文科省の内部文書を、該当部分を抜き出し公開する。文書からは内閣府の姿勢の強硬さと文科省の困惑が読み取れる。

◯「平成30年開学」ありきのスケジュール

文書によると、内閣府は加計学園の獣医学部新設のスケジュールについて、平成30年、つまり来年2018年4月の開学に、異様な程こだわっていて、そのための具体的なスケジュールについてが以下文書で示されている。

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◯「官邸の最高レベルが言っていること」

2018年4月の開学というスケジュールについて、内閣府は文科省に対し、「官邸の最高レベルが言っていること」と迫っていた。

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◯困惑する義家弘介・文科副大臣「文科省が悪者に」

内閣府の意向を伝えられた義家弘介・文部科学副大臣は「手続きはきちんとしないと」「農水省や厚労省は逃げているのか」「閣内不一致を何とかしないと文科省が悪者になってしまう」と露骨に困惑していることが示されている。なお、本文書について野党に追及された義家弘介・文科副大臣は、今月7日の衆院内閣委員会で「私が確認していない文書は行政文書ではない」と発言。

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◯松野博一・文科大臣も困惑「準備が整わない」「衆院補選の後にできないか」

松野博一・文部科学大臣の困惑ぶりも文書に示されている。「必要な準備が整わない」として、「平成30年4月開学」ではなく、その翌年の「平成31年4月開学」にできないか、とのべている。また、麻生太郎・副総理大臣が反対しているとして、彼の地盤である福岡での衆院補選の後にできないか、と提案している部分も非常に生々しい。

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義家文科副大臣も、松野大臣の意見について「内閣府に確認してほしい」と指示。

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義家文科副大臣は、萩生田光一・内閣官房副長官へのアポ取りも指示。

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◯萩生田光一・官房副長官「私の方で整理しよう」

萩生田・官房副長官の、獣医学部新設について「他の大学から『うちもできますよ』と言われると困難になる」の発言から、加計学園ありきの姿勢がうかがえる。他方、「必要性に説明がつくのか」、「平成30年4月(の開学)は早い。無理だと思う」等、萩生田・官房副長官も文科省側の懸念に一定の理解を示し、「私の方で整理しよう」と発言している。

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◯獣医学部設置時期は「総理のご意向」、内閣一丸となっての動き

文科省からの問い合わせに対する内閣府からの回答では、「平成30年4月開学」という獣医学部設置時期は「総理のご意向と聞いている」と強調。さらに、菅義偉・官房長官や彼の補佐官、萩生田光一、野上浩太郎・両官房副長官、官房副長官補ら政府要人に「『1,2ヶ月で議論しないといけない状況』と説明してある」ともあり、加計学園の獣医学部新設が、安倍内閣一丸となってのプロジェクトであることを示している。

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◯文書の存在を認め、誠実な論議を

当初、怪文書として「総理のご意向」文書の存在を認めなかった安倍政権だが、一転して「調査を行う」としているが、その結果報告がいつになるかは「未定」だという。国会の会期末以降の報告にして、国会での追及を避けようというつもりなのであろうが、文部大臣、同副大臣、官房副長官の具体的な発言が記されているだけに、文書が本物であるか否かは本人達にとっては、すぐわかることだろう。ズルズルと「調査中」でごまかすでのはなく、速やかに事実関係を確認し、誠実な論議を国会会期中に行うべきだ。

(了)

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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