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今度はSTAP細胞の小保方さんイジメなのか?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

佐村河内守さんへのメディアバッシングがようやく、終焉を迎えたかと思ったら、今度はSTAP細胞の小保方晴子さんへのバッシングへとメディアの矛先が変わった。

理系女子の「リケジョ」「天然、不思議ちゃん」「ヴィヴィアンウエストウッドの指輪」にまで、研究成果とはまったく違うところで、もてはやしたかと思えば、突如として、「コピペ疑惑」への追求の嵐へと風向きが変わった。

現代のベートーヴェンに感激したかと思うと、あっという間のゴーストライター登場で、CDも回収。音源も購入できなくなった。当然、コンサートも中止。 理研の小保方さんも、世紀の大発明も共に、同様の結果になってしまいそうだ。

「論文に重大な過誤があったことは甚だ遺憾です」野依理事長

http://sankei.jp.msn.com/science/news/140314/scn14031414420004-n1.htm

論文取り下げ「共著者と検討しております」 小保方さんらコメント

http://sankei.jp.msn.com/science/news/140314/scn14031414570005-n1.htm

本日(2014/3/14)の発表は、佐村河内守さんのゴーストライターの会見と同じ状況であり、人々の関心は一気に、小保方さんの会見に集まることだろう。

イメージしてみよう。

小保方さんが登場する日の記者会見を…。 

視聴率はウナギのぼり。フラッシュがまばゆいばかりに光る。

小保方さんが、謝罪をし、深く頭をさげる…。その目には涙が潤んでいる。

事実関係を語りおえ、皆様に大変ご迷惑をおかけしました…と深く頭を下げると、またフラッシュが瞬く。

これにて、終了となると…記者からの遠慮のない罵倒に近い質問が相次いで飛ぶ。

まるで、正義の味方の代弁者のような質問口調である。

ボロボロになった彼女にさらに追い打ちをかける同様の質問がしつこく続く…。

もはや、それはイジメに近い。いや、生放送という凶器をふりかざしての集団イジメだ。

なぜ、抵抗しない人間にそこまで、暴力をなげかけるのだろうか?

謝罪して、反省して、社会的制裁が与えられた者に対して、メディアの制裁は、はたして必要なのだろうか?

いつもながら、謝罪している人への、異常なまでの、いやらしい質問はしつこくずっと続く。常にイジメられる人を探しているかのようにも見える。さらに、テレビ報道は、今度はネットで個人の論客による意見へと飛び火する。

日本テレビの「明日、ママがいない」は、ドラマが最終回を迎えて、CMのはいらないドラマという制裁で幕を閉じた。

日本のテレビ局はもう二度と、社会的弱者へのリスクのあるドラマは作れなくなってしまった。たとえ、ドラマの背景であったとしても、心を痛める人が一切いない配慮ばかりのドラマしか生まれない。それでドラマが作れるのだろうか?

1957年、松竹からは「気違い部落」という映画が公開された。1967年には、手塚治虫さんの全身障害を持つ百鬼丸と盗賊の孤児の「どろろ」の連載が始まった。現代では、到底公開できない話ばかりだ。

しかし、そこには弱者に対しての「愛」があった。現在の日本は、口先だけのデリカシーは大いに語るが、そこには「愛」がまったく感じられない。

1989年の「一杯のかけそば」には国民が涙した。しかし、作者の犯罪が公になった瞬間にその話は完全に封印されてしまった。

現代のベートーヴェンは現代の「一杯のかけそば」佐村河内守氏作曲問題

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kandatoshiaki/20140206-00032394/

でも指摘したが、「障害者だから名曲と礼賛するメディア側も大きな問題。障害者であるかどうかは、音楽にはまったく関係のないはず。」

今回の小保方さんの件も、最初は、STAP細胞よりも、「女性で理系でキレイだから…」でマスメディアは、取り上げていなかっただろうか?そして、現在は、「なんとあの人が…」の論調に変わってきてしまっている。

そして、最も気持ちが悪いのが、「疑惑…疑惑…」で、小保方さんの会見を期待させる煽り報道ばかりだ。

「明日、ママがいない」で広告スポンサーを降りる企業は続出したのに、佐村河内守さんや、STAP細胞コピペ疑惑の過剰な報道でスポンサーを降りた企業は一社もいない。ここは、不快なニュース報道をする番組からは、降りるスポンサーの登場を期待したいものだ。

そして、一番の最悪の問題は、我々が報道に関して、興味を抱いてしまうことだ。それは、視聴率という数値で現れ、ますますメディアを助長してしまうことになる。結果として、マスメディアも数字が取れる報道を目指してしまう。

小保方さんがどのような扱いを受けるのは想像に難しくない。

しかし、興味を持ち、チャンネルを合わせてしまうことによって、マスメディアのバッシング、いやマスメディアのイジメに、我々が加担してしまうことになってしまう。

もう、この件については、興味を抱くことをやめようではないか。顛末を知ったところで、夢もなくなり、ガッカリするだけなのだから。

もちろん、そのためには、マスメディアから自分を律する力も必要だ。

知るべきニュースもあれば、知らなくてもいいニュースもある。今、マスメディアにその機能がないので、我々自身がニュースを取捨選択する必要がある。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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