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令和最初の臨時国会が始まった!

安積明子政治ジャーナリスト
臨時国会に初登院したれいわ新選組の舩後靖彦議員と木村英子議員(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

臨時国会が始まった!

 第25回参議院通常選挙を受けて8月1日、第199回臨時国会が始まった。会期は8月5日までだが、土日を挟むので実質は3日間。参議院議長・副議長の指名などセレモニーが主になるが、令和の時代の最初の国会である点で意義が深い。

 その主役は身体に重度の障碍を持つ舩後靖彦氏と木村英子氏を当選させたれいわ新選組(以下、れいわ)だろう。彼らが受けている重度訪問介護サービスは働き始めると通勤や勤務中に受けられないことから、木村氏が「このままでは登院できない」と訴えたからだ。参議院は議事堂のバリアフリーを進める工事を行った他、彼らをサポートするための当面の費用を負担することを決定したが、れいわ側は一時的な措置で足りるものではなく制度の問題であると主張。代表の山本太郎氏もテレビに出演し、2014年に日本が批准した障碍者権利条約の意義を主張した。

障碍者政策に注目が集まる

 こうした問題に反対意見もある。松井一郎大阪市長は8月1日にツイッターで、「(重度の障碍のある国会議員に)一般の障がい者に適用されない優遇制度が必要なのか。障がい者政策とは別の話」「社会保障制度は所得の再分配によって成り立っている」と述べた。れいわの山本代表自身、参院選の最中には「消費税を廃止して所得税と法人税の累進性を高めるべき」と主張するなど、所得の再分配に積極的な姿勢を示していた。自分たちのみ適用除外だというのはダブルスタンダードになりかねない。そもそも多くの障碍者が望むのは平等や公正であり、優遇ではないはずだ。国会でさらなる議論が望まれる。

 ノーマライゼーション問題ばかりではない。国政には難問が山積している。そのひとつが日本による韓国への半導体材料の輸出優遇措置撤廃で深刻化した日韓関係だ。

出口の見えない日韓関係

 日本の韓国に対するホワイト国指定排除を阻止するために前日から来日している韓日議会外交フォーラムの面々は、31日の日韓議員連盟、山口那津男公明党代表との面談に続き、二階俊博自民党幹事長とも会おうとしたが、二階氏側から党務のためにドタキャンし翌日に延期。ところが夜になって二階氏側から党務による面会不可能の連絡が入ったため、韓国側は「非礼だ」と激怒した。

 二階氏側の都合とは「北朝鮮のミサイル発射に関する党内緊急安全保障会議を主催するため」で、7月31日早朝に確認された北朝鮮からの飛翔体について議論するもの。だが北朝鮮は7月25日にも短距離ミサイルを発射しており、日本政府は「安全保障決議に反する」としたものの、自民党内では会議が開かれていない。しかも31日の飛翔体は25日のミサイルよりも高度も低く、射程距離も短い。韓国の議員団との面談を拒否する口実であった可能性は高い。

 二階氏が韓国の議員団と面談しなかった理由は9月の党人事に配慮したなど様々に考えられるが、最も妥当なのは二階氏はその性格から議員団に会えばリップサービスをしかねないため、それを周囲が警戒したからではないか。中国に太いパイプを持つ二階氏は、実は韓国とも近い。2018年には地方議員を含む二階派のメンバー約300名の研修をソウルで行った。

 安倍政権としては、この問題では妥協するつもりはない。ASEAN関連外相会談でバンコクを訪れている河野太郎外相は8月1日に韓国の康京和外相と面談したが、ホワイト国除外をめぐる韓国側の要請をきっぱりと拒否している。

大国の利害に飲み込まれる日本はどうすべきか

 悩ましいのは日韓関係ばかりではなく、ロシア問題も頭が痛い。北方領土問題については、これまでの4島返還論から「日ソ共同宣言を基礎」と妥協したものの、強硬姿勢に転じたロシアとの齟齬が大きく、メドベージェフ首相は近々に択捉島に渡航予定だ。9月に開催される第5回東方経済フォーラムでは、どのような首脳間のやりとりが行われるか。さっそく参議院議員として“初登院”した鈴木宗男氏が8月1日夕方に官邸に入り、安倍晋三首相と面会している。

 またホルムズ海峡の安全を確保するための「有志連合」問題も、秋の臨時国会で紛糾しそうだ。アメリカ軍は7月31日にバーレーンで準備計画を協議する会合を開いたが、これに海上自衛隊も参加している。

 このように臨時国会初日の永田町をめまぐるしくまわった後、新宿西口で開かれたれいわの山本代表による「街頭記者会見」を覗いてみた。参議院選の最中以上の熱気と人出に、「れいわ人気」を改めて感じる。現政権に対する不満が鬱積したエネルギーは実に凄まじいが、日本に忍び寄る脅威についての認識はどうなのか。「総理大臣になりたい」と次期衆議院選を目指す山本氏には、ぜひその点について聞いてみたい。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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