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「あつ森」国内だけで1000万本売る大記録 4カ月で「スーパーマリオ」超えも

河村鳴紘サブカル専門ライター
任天堂の人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」(c)2020 Nintendo

 任天堂の人気ゲームで「あつ森」などの愛称で知られる「あつまれ どうぶつの森」が日本国内だけで1000万本売れました。2020年3月20日の発売から約1年9カ月間かけて到達した前人未到の記録を振り返ってみます。

◇4カ月足らずで「スーパーマリオ」超え

 同社の2022年3月期第3四半期決算の資料で、国内だけで1000万本の大台突破を報告しつつ、「これまで最高だった1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』の記録681万本を大きく超えて、単一のタイトルとしては日本国内で過去最も売れたビデオゲームソフト」と触れています。

 ちなみに「単一のタイトル」という条件が付いているのは、単一ではないのであれば、1000万本を突破したタイトルが存在するからです。「ポケットモンスター 赤・緑」と別バージョンの「ポケットモンスター 青」「ポケットモンスター ピカチュウ」ですね。2000年3月時点の数字で1300万本以上で、その後積み上げた数字は開示されていません。

【参考】ポケモンの記録(任天堂公式サイト)

 それだけに、単一のタイトルとして、日本国内だけで1000万本以上売れたというのは、考えられないレベルの領域で、「アンタッチャブル・レコード(今後抜かれない記録)」ではないでしょうか。実際、約30年以上抜かれなかった「スーパーマリオブラザーズ」の記録から、300万本以上積み増しています。

 「あつ森」の国内の売れ行きですが、最初から爆発的でした。元々の人気に加え、この時期、世界中で新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり需要」が後押し。2020年3月から6月までの最初の約4カ月間(正確には3カ月と約10日)で700万本以上出荷しており、この時点で「スーパーマリオ」超えを達成しています。

「あつ森」の四半期(3カ月)ごとの売れ行きの推移(単位は万本)。累計は、四半期ごとの数字の合算で、発表の数字とズレがあります=決算データから筆者が作成
「あつ森」の四半期(3カ月)ごとの売れ行きの推移(単位は万本)。累計は、四半期ごとの数字の合算で、発表の数字とズレがあります=決算データから筆者が作成

 ゲームソフトは、発売後に一気に売れて、その後ほぼ売れなくなる傾向にあるのですが、「あつ森」はその後も半年間(2020年年末商戦まで)は、月平均30万本以上のペースで推移。「巣ごもり需要」が続いたとはいえ、普通のヒットゲーム以上の売り上げを維持しました。

 さすがに2021年に入ると落ち着きますが、それでも月平均4~6万本です。週平均1万本前後も出た形になり、数字を積み上げていきます。

 昨年の10~12月に数字が跳ね上がったのは、ゲームソフトは元々、年末商戦に売れることに加えて、有料追加コンテンツの「あつまれ どうぶつの森 ハッピーホームパラダイス」(2021年11月配信、2500円)が出たためでしょう。

◇「あつ森」以上のソフトも

 これだけ売れて知名度が高いと、ゲームをプレーしていない人も「聞いたことがある」レベルになってきますから、ニンテンドースイッチを初めて買った人が最初に選ぶソフトの一つになっているでしょう。今後は果たして、どこまで記録を積み上げるのか……。なお、海外では2755万本も売れていて、全世界の出荷数に対する日本の占める割合は約27%にすぎません。

 任天堂の恐ろしいところは、「あつ森」以上に売れているゲームが存在することです。「マリオカート8 デラックス」が世界累計で4335万本となります。なおWiiの時代には、「Wii Sports」が8290万本を売ったという記録もあります。

 それにしても、単体タイトルが国内だけで1000万本を突破するというのは、それだけで単独のプレスリリースを出せば、各メディアがこぞって取り上げるレベルの話だと思うのです。それを決算資料の一文で済ませてしまうのが、任天堂らしいと言えばらしいのですが……。

 任天堂の決算で話題になった「ニンテンドースイッチ」の世界累計出荷数が1億台を突破したことも快挙ですが、レア(希少)度から言えば、「あつ森」の記録なのかもしれません。

 「あつまれ どうぶつの森」は、手つかずの自然が残る無人島に移住したプレーヤーが島作りをしながら、言葉を話す「どうぶつ」たちと交流する……というゲームです。米国の美術館メトロポリタンが所蔵するデータをゲーム中で利用できるようにして話題となりました。また米ファッションブランド「マークジェイコブス」や、イタリアのファッションブランド「ヴァレンティノ」も、ゲーム中に着用できる服を配信するなどして、注目を集めました。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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