エイベックス・ベンチャーズが初のピッチ・イベント『avex Enter-Tech Pitch』を開催
エイベックス・ベンチャーズが2017年4月4日、ベンチャー企業向けに投資、支援をするピッチ・イベント『avex Enter-Tech Pitch』を開催した。
エイベックス・ベンチャーズとは、レコード会社からスタートしたエイベックスが2016年11月に設立したベンチャー・キャピタルだ。
今回のイベントは、エンターテック(エンタテインメント×テクノロジー)をテーマに7社のベンチャー企業が登壇。150名のエイベックス社員と、審査員であるエイベックス・グループホールディングス代表取締役CEOの松浦勝人氏、アーティストの小室哲哉氏、経営共創基盤の塩野誠氏を前に、事業モデル提案をおこなった。
エイベックス・グループの活動は音楽だけにとどまらず、2009年にNTTドコモとともに動画配信サービス『BeeTV』、そして『dTV』をスタートしている。スマートフォンの普及に合わせて会員数を伸ばし、音楽CDの売れない時代において同社の売上げを支えていたが、次なるステップの一つがエイベックス・ベンチャーズのようだ。
音楽は様々なエンタテインメントに溶け合えるカルチャーであるが、今回は音楽以外をテーマとする『VR』、『ファッション』、『インフルエンサー』、『スポーツ』、『ブロックチェーン』、『IoT』を提案するスタートアップ企業との出会いとなるコラボレーションの場となった。
プレゼンを実施したのは、以下7社となる。
●VRアプリ作成ツールを生み出す『InstaVR』(InstaVR 代表取締役社長:芳賀洋行氏)
●アパレル店員とつなげるコミュニケーション・プラットフォーム『STYLER』(STYLER CEO:小関翼氏)
●美容師とサロンモデルをつなぐサービス『Coupe』(株式会社Coupe 代表取締役社長/エンジニア:竹村恵美氏)
●スポーツの試合情報がリアルタイムでわかる『PLAYER』(株式会社ookami 代表取締役社長:尾形太陽氏)
●バーチャル・ルーム・アプリ『cluster』(クラスター株式会社 Founder&CEO:加藤直人氏)
●コミュニティ通貨のプラットフォーム『orb』(株式会社Orb 代表取締役:仲津正朗氏)
●エクストリーム・コミュニケーション・ギア『BONX』(株式会社BONX 代表取締役CEO:宮坂貴大氏)
中でも気になったのは、フィンテック向けに開発されたブロックチェーン技術を保有するOrbだ。非中央集権的なDRMプラットフォームを再構築することで、楽曲の二次利用流通を提案していたのが興味深い。
それこそ、何かと話題のTM NETWORKの4枚組CDアルバム『GET WILD SONG MAFIA』にて、ライナーノーツで寄稿したテーマ『Get Wild、自律分散型で拡散された終わらないアップデート』と近い方向性を感じたのだ。ブロックチェーン技術を活用することで、リミックスや二次創作を相互管理しやすくなる次世代DRMは、iTunes、YouTube、Spotify以降の楽曲配信プラットフォームとして期待される分野だ。
今回のピッチ・イベントは、エイベックス・グループの事業と相乗効果が得られるビジネスモデルを模索することが目的とされている。『avex Enter-Tech Pitch』の審査員賞は、BONXが塩野誠賞、InstaVRが小室哲哉賞、クラスターが松浦勝人賞を受賞した。
今後も、エイベックス・ベンチャーズによるエンターテック(エンタテインメント×テクノロジー)をテーマとした新規事業による連携や投資先の開拓が気になるところだ。
avex ventures inc.- エイベックス・ベンチャーズ株式会社-