見上げてみよう 10月1日は「中秋の名月」
10月1日は中秋の名月
今年は10月1日(木)の晩が「中秋の名月」です。中秋の名月(十五夜)とは、太陰太陽暦(旧暦)において、秋分を含む月の15日の夕方に出る月のことで、古くよりアジア各地で「お月見」をする慣習があります。日本における中秋の名月を愛でる行事は、平安時代に中国から伝わったと言われています。今年は秋霖が過ぎ、見上げる空が澄んだこの時期に、運よく晴れれば中秋の名月を愛でることが出来ます。いにしえの時代よりさまざまな想いを込めて、古今東西の人々が愛でてきたこの名月を、改めてじっくりと眺めてみませんか?
日本において現在使われている暦(太陽暦)では、中秋の名月にあたる旧暦の8月15日は9月中のことが多く、10月になるのは19年に4-5回程度です。これは旧暦において、閏月(うるうづき)が今年挿入されたため、10月にずれ込んだのです。なお、少しややこしいのですが、十五夜の月は必ずしも満月ではなく、今年の場合は、翌2日(金)朝に満月を迎えます。
また、今年は10月31日にも満月を迎えます。ひと月に満月が2回訪れることはめずらしく、そのようなケースを近年ではブルームーンとも呼ぶそうです。2回目の満月は2020年中で地球から見て最も小さな満月(もっとも遠い満月)です。
月の満ち欠けを楽しむ
新月から次の新月に至る月の満ち欠けの様子は、暦として利用できることのみならず、夜空でもっとも分かり易い規則性のある変化として、人びとの興味を引き付けてきました。
月の満ち欠けの周期は29.5日。新月からの経過時間を日の単位で表した数値を「月齢」といいますが、このため 月齢は0 から29.5までの値をとります。月の満ち欠けを記載する際の基準となる面として黄道面を用います。天球上での太陽の通り道が黄道で、黄道は天の赤道と2か所で交差します。太陽が天の赤道を南から北に横切る点が春分点ですが、黄道上で春分点から一周360度と測る角度を「黄径」と呼びます。
月と太陽の黄経の差が0度、90度、180度、270度となる時、それぞれ、新月(月齢0前後)、上弦(月齢7前後)、満月(月齢15前後)、下弦(月齢22前後)となります。これ以外にも月の位相の変化に応じて、さまざまな月の呼び名があります。旧暦の3日目は三日月(月齢2前後)、15日目は十五夜(月齢14前後)という具合です。
十五夜を過ぎると東の空から月が昇ってくる時刻が次第に遅くなりますので、翌晩から順に十六夜(いざよい)の月、立待月(たちまちづき)、居待月(いまちづき)、寝待月(ねまちづき)などの呼び名もあります。
今年の秋の夜空は賑やか
天の川が見事な夏の夜空と一等星が多く華やかな印象の冬の夜空に挟まれ、この時期の秋の夜空は例年寂しく感じる人も多いことでしょう。通常、秋の夜空には一等星がみなみのうお座のフォーマルハウト1つしかなく、地味な印象を受けますが、今年は地球に最接近する火星と、西の空には夜半前には木星、土星を見つけることが出来、幾分賑やかで見どころの多い夜空となっています。
10月6日には2年2か月ぶりに火星が地球に最接近します。この日の火星はマイナス2.6等級、うお座の中を移動中です。木星(マイナス2.4等級、火星とほぼ同じ明るさ)、土星(0.5等級)ともに夏の星座いて座におり、夜半前に南西の空に沈んでいきます。
より詳しい解説は、国立天文台ほしぞら情報をご活用ください。