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冷夏の始まり? 西・東日本は低温予想

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
向こう1か月の平均気温は西・東日本で低くなる可能性が高い(著者作成)

 この先、気温が低くなる?最新の1か月予報によると、夏の高気圧が弱く、全国的に冷たい空気の影響を受けやすい見通しだ。

7週ぶりの低温予想

 5月の記録的な暑さは収まったものの、6月の梅雨入りは番狂わせ。西日本を飛び越えて、東日本が先に梅雨入りしました。この先の気温や雨が気になります。

 最新の1か月予報(13日)によると、向こう1か月の気温は西・東日本で平年より低くなる確率が50%と高く、これまでの季節先取りの暑さにブレーキがかかりそうです。

 1か月予報は毎週木曜日に発表されます。低温予想を東日本に限って調べてみると、4月25日以来、7週ぶりです。このときは寒気の影響で、東京都内でひょうが降り、各地で冷え込みが強まりました。

一年でわずか1回

 低温予想はあまり見かけない印象です。気温が平年より低くなる確率50%以上と高くなる確率50%以上、どちらが多いのか調べてみました。

 この一年間(2018年6月から2019年5月まで)で1か月予報は51回発表され、そのうちの約6割にあたる31回が高温予想でした。2018年11月や2019年2月はすべて高温予想です。一方、低温予想はわずか1回、先ほど紹介したものだけです。

【東日本の平均気温】月ごとの発表回数と高い確率50%以上と予想された回数(2018年6月~2019年5月、著者作成)
【東日本の平均気温】月ごとの発表回数と高い確率50%以上と予想された回数(2018年6月~2019年5月、著者作成)

 なぜ、高温予想が多いのでしょう?

 長期的な予想は「低い」「平年並み」「高い」の3つに分けて考えます。もしも、予想する手段がなかったら、これらは等しく3分の1の確率で起こると予想します。これを気候的出現率と言います。

気候的出現率の説明図(著者作成)
気候的出現率の説明図(著者作成)

 

 近年は温暖化の進行で、気温が高くなりやすい下地があり、それが長期予報に表れています。

冷夏の兆し?

 陸上競技に例えると、6月は本格的な夏に向けて助走するときです。しかし、今年は様子が違います。

 この先の予想天気図では夏の主役である太平洋高気圧が弱く、梅雨前線はいつもの年より南に位置する予想です。また、全国的に北風が吹きやすく、冷たい空気の影響を受けやすいとみられます。寒色は平年と比べ気温が低くなる場所を示しています。

850hPa気温予測図(6月15日~7月12日)気象庁ホームページより
850hPa気温予測図(6月15日~7月12日)気象庁ホームページより

 気温の低い時期が一時的ならば、夏への影響は軽微でしょう。しかし、ずるずると長引いてしまったら、冷夏が現実のものとなります。まだ夏の入り口に過ぎず、冷夏と判断するのは早いです。今後、どのように天気が変化していくのか、注視しています。

【参考資料】

気象庁:向こう1か月の天候の見通し(6月15日~7月14日)、2019年6月13日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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