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渡辺棋王11連覇か、藤井竜王最年少六冠か――第48期棋王戦五番勝負渡辺明棋王-藤井聡太竜王戦展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
最強の挑戦者を迎え撃つ渡辺明棋王(筆者撮影)

 渡辺明棋王(38)=名人に藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・王将・棋聖が挑戦する第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負(共同通信社主催)は第1局が2月5日に長野県長野市「長野ホテル犀北館」で行われる。

 渡辺棋王は11連覇が、藤井竜王は初の棋王獲得と最年少六冠の記録がかかる。

 勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

<棋王戦五番勝負日程>

第1局 2月5日 長野県長野市「長野ホテル犀北館」

第2局 2月18日 石川県金沢市「北國新聞会館」

第3局 3月5日 新潟県新潟市「新潟グランドホテル」

第4局 3月19日 栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」

第5局 3月29日 東京都渋谷区「東郷神社」

藤井竜王にも不安要素あり

<渡辺棋王の最近10局>(相手の肩書は対局当時)

10月23日 ALSOK杯王将戦リーグ

対羽生善治九段 ●(千日手指直し)

11月4日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対木村一基九段 ○

11月4日 ALSOK杯王将戦リーグ

対糸谷哲郎八段 ●

11月15日 ALSOK杯王将戦リーグ

対豊島将之九段 ●

11月28日 叡王戦予選

対永瀬拓矢王座 ●

12月14日 伊藤園お~いお茶杯王位戦予選

対横山泰明七段 ○

1月6日 竜王戦1組

対稲葉陽八段 ●

1月27日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対西田拓也五段 ○

1月27日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対佐藤天彦九段 ○

1月31日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組

対池永天志五段 ○

<藤井竜王の最近10局>

12月19日 棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局

対佐藤天彦九段 ○

12月23日 順位戦A級

対佐藤九段 ○

12月27日 棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第2局

対佐藤九段 ○

1月8、9日 ALSOK杯王将戦七番勝負第1局

対羽生善治九段 ○

1月15日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対阿久津主税八段 ○

1月15日 朝日杯将棋オープン戦本戦

対増田康宏六段 ○

1月18日 順位戦A級

対豊島将之九段 ○

1月21、22日 ALSOK杯王将戦七番勝負第2局

対羽生九段 ●

1月28、29日 ALSOK杯王将戦七番勝負第3局

対羽生九段 ○

2月1日 順位戦A級

対永瀬拓矢王座 ●

 二冠を保持する渡辺棋王の直近10局は5勝5敗の指し分けと今一つの成績だが、ここにきて3連勝と上向きなのは好材料。昨年、永瀬拓矢王座の挑戦を受けた時は絶不調にもかかわらず番勝負を戦ううちにリズムを取り戻し、10連覇を達成したのはベテランの芸といっていいだろう。

 藤井竜王の直近10局は8勝2敗と安定した好成績をキープしている。ただし直前の順位戦A級8回戦で痛い黒星を喫し「勝負の流れ」としての不安要素はある。

 調子の比較では藤井竜王が優る。

渡辺棋王の序盤戦略に注目

 直接対決は14局あって藤井竜王が12勝2敗と大きくリードしており、そのうちタイトル戦番勝負は藤井竜王から見て棋聖戦が3勝1敗(奪取)と3連勝(防衛)、王将戦が4連勝(奪取)と圧倒している。

 戦型は過去のデータからは渡辺棋王先手の時は相掛かりと矢倉が中心、藤井竜王先手の時は角換わりか相掛かりの可能性が高いだろう。いずれにしても相居飛車の最新形が出現すると思われる。

 スキが見えない藤井竜王に対し、作戦巧者の渡辺棋王がどのような戦略で臨むか注目だ。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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