電撃辞任した韓国検察総長に関する世論調査 政界進出は「適切」と「不適切」が拮抗!
尹錫悦(ユン・ソギョル)韓国検察総長の電撃的辞任は政界に波紋を巻き起こしている。尹前総長が政界に進出し、来年3月に予定されている大統領選挙に出馬するのではと取り沙汰されているからだ。
検察総長としての任期は7月まである。本来ならば今すぐに辞める必要はない。文在寅政権に立ち向かうならば「生きた権力」と称される政権与党の不正、腐敗をもっと暴いてから辞めても遅くはないはずだ。それでもあえて、このタイミングを選んだ狙いは来月7日に予定されている大統領選挙の前哨戦であるソウル市長選と釜山市長選に向けての保守野党への側面支援との見方が有力だ。文政権に三下り半を突きつけ、辞任したことが野党への追い風となり、野党候補が首都と第2の都市の市長の座を取れば、弾みがつき、来年の大統領選挙に勝てるとの計算が働いているのかもしれない。
(参考資料:次期大統領支持率トップの検察総長を解任できるか!懲戒委員会で裁かれる尹錫悦検察総長の「華麗なる経歴」)
国会議員経歴要覧をみると、与党「共に民主党」には盧武鉉、文在寅大統領に代表されるように弁護士出身者が多い。国会議員(300人)の中に弁護士出身が20人いるが、多くが「共に民主党」所属だ。
逆に保守派は朴槿恵前政権の与党代表だった洪準杓、黄教安を筆頭に検察出身者が多い。昨年4月の総選挙で「国民の力」は大敗し、議席数を122人から103人に減らし、黄代表を筆頭に検事出身者からも落選者が続出したが、それでも元検事長が10人もいる
政権奪還を目指す「国民の力」は尹氏の検察総長の辞任を「大変勇気ある行動である」(金鍾仁非常対策委員会代表)ともろ手を挙げて歓迎している。今の野党陣営には有力な大統領候補が見当たらないだけに勝てる候補として今後「尹錫悦待望論」が高まるだろう。
尹前検察総長は直近の「リアルメータ」の調査では次期大統領候補としての支持率では18.2%と「与党」の李洛淵代表と並んで2位に着けていたが、昨年11-12月の調査では24.7%を記録し、李在明・京畿道知事と李洛淵代表を抜いて1位に躍り出たこともあった。
一方、政権与党は政治的に中立的な立場を保つべき検察総長が政権批判をして去ったことから批判を強めているが、問題は、尹氏の検察総長辞任、政界進出を国民がどう受け止めているかが評価の基準となる。
世論調査会社「リアルメータ―」が24時間ニュース専門番組「YTN」の委託を受け、先週金曜日(5日)に全国有権者約500人を対象に実施した世論調査結果が今朝判明したが、それによると、前検察総長の政界進出を「適切」とみて歓迎している国民が48.0%、「不適切」とみなしている国民が46.3%と拮抗していた。
政党別では、当然「共に民主党」の支持者の88.4%が「不適切」と回答。一方、「国民の力」も同様に圧倒的多数の86.8%が「適切」と回答していた。
世代別では「不適切」は30代と40代が最も多く、それぞれ62.7%、54.4%に達していた。反面、60代、70代以上の高齢層では「適切」が53.9%、57.4%とそれぞれ過半数を超えていた。注目の20代は「適切」44.8%、「不適切」43.6%と僅かながら、「適切」が「不適切」を上回っていた。