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新型コロナでメモリアルイヤーが一変。それでも「劇団Patch」中山義紘が貫く“一生懸命”の積み重ね

中西正男芸能記者
「劇団Patch」の中山義紘(写真は所属事務所提供)

 関西を拠点にする演劇集団「劇団Patch」の中山義紘さん(30)。今年は「劇団Patch」結成8周年で“8(パッチ)イヤー”として4月から数々の催しが予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により全て延期となりました。その中でもできることを模索しWEB会議ツール「Zoom」を使った演劇「ロックダウンスパイ」(29日からスタート)にもチャレンジしています。「今回で感じたことを糧に、またお客さんの前に立てる時が来たら、さらに良いものをお見せする。今はそれしかないと思っています」と言葉に力を込めました。

メモリアルイヤーが一変

 今年4月で「劇団Patch」は結成8周年を迎えました。“8(パッチ)イヤー”ということで、4月から毎月トークライブを開催したり、8月には体育祭的なイベントを考えたり、12月には大きな舞台をやる構想を練ったり。記念イヤーなので、いろいろと考えてきたんですけど、新型コロナ禍で全て延期になりました。

 「どうしようか…」となっていたところに、Zoomを使ってリモートで芝居をするという企画を、今回脚本を担当してくださった高殿円さんが提示してくださいまして。

 そもそも「劇団Patch」は“演劇で大阪を元気に!日本を元気に!”という趣旨で結成されたものですし、どんな形ででも何とかお芝居がやりたい。その思いが募る中で「こんな形もあるのか!」というお話をいただき、本当にありがたいことだと思いました。

 物語の設定としては、日本に来たスパイの話なんです。本当は外に出て諜報活動をしないといけないけど、街がロックダウンされて出られない。そこで、WEB会議ツールのZoomを使って、スパイ同士が「さあ、どうしたものか」とオンライン会議をする。そこで、いろいろなことが起こり…というものなんです。

 なので、けいこも実際に人と会うことなく、Zoomを使ってやっています。演出担当の方もZoomでの遠隔演技指導みたいな形で、けいこのやり方もそうですし、Zoomの画面の中だけで演技をするという感覚もですし、何から何までこれまでとは違う新しい感覚を僕らも毎日体感しているところです。

「ロックダウンスパイ」のけいこ風景(所属事務所提供)
「ロックダウンスパイ」のけいこ風景(所属事務所提供)

いつか糧に

 まずは今回の試みに全力を傾ける。それが第一なんですけど、今のように劇場を本格稼働させられない状況がいつまで続くのか。そして、本当にリアルな話、収入の不安、生活の不安もあります。

 それと、今回1公演888円で有料配信させていただくんですけど、エンターテインメントに関わっている者としては、継続的に公演として成り立たせて、少しでも明日が楽しくなるようなものをお届けし続けたい。

 一方、見ていただく方々もコロナ禍でお仕事や生活が大変になっている部分もある中で、お金をいただくことの是非も考える。いったい何が正解なのか…。いつも以上に、いろいろなことを考える日々になっていることは間違いないです。

 軽々に言えることではないですけど、いつか、今回考えたいろいろなことが糧になって、再びお客さんの前でお芝居ができるようになった時に、より良いものができる。そんな自分でいられるように、今は今で頑張るしかないと思っています。

一日一日一生懸命

 よく考えたら、これまでも、その時、その時で、いろいろなものにぶち当たり、その時の自分としてのベストを尽くす。そんな8年だったなと感じています。

 2014年、初めてNHKの連続テレビ小説に出られたのが「ごちそうさん」でした。そもそも、連続ドラマの経験もほとんどなかった中で、いきなりの朝ドラ。今から考えても、すごくプレッシャーのかかることでした。

 主演は杏さん。僕が共演する機会が多かったのが菅田将暉さん。今までテレビで見ていた人たちと、テレビで見ていた朝ドラに出る。毎日「なんや、これは…」と思うような日々でしたし、今から思うと反省ポイントみたいなところもたくさんありました。でも、そこで得たものは今でも胸に突き刺さっています。

 とにかく目の前のお芝居を一つ一つ大切に。そして、一日一日を一生懸命過ごす。基本的にはそれしかないんだろうなと考えています。

 今回、コロナ禍の自粛期間でもいろいろトライしてました。お芝居の台本をたくさん読んだり、ボイストレーニングをしたり…。

 あと、僕、酢の物が好きなんで、ピクルス作りにも凝ってました。どれくらい漬けるのがベストなのか。この期間で、かなり上手にはなったと思います。

 …でも、よく考えたら、何か変わった野菜を漬けたりすることはなく、キュウリとか極めて普通の野菜ばっかり漬けてましたね。せっかくだったら、もっと皆さんがびっくりするような野菜を漬けておくべきやったなぁ…。すみません、これは反省ポイントです(笑)。

■中山義紘(なかやま・よしひろ)

1990年2月23日生まれ。兵庫県出身。ワタナベエンターテインメント所属。2012年に「劇団Patch」の第一期メンバーオーディションでメンバー入り。14年の「ごちそうさん」を始め「あさが来た」「べっぴんさん」「スカーレット」などNHK連続テレビ小説に出演。他にも、テレビ朝日「科捜研の女」「遺留捜査」などにも出演する。今回、WEB会議ツール「Zoom」を活用した連ドラ形式の生演劇「ロックダウンスパイ」(演出・A・ロックマン、脚本・高殿円)にチャレンジ。同作は5月29日からスタートし全5話。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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