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味の決め手は白ワイン。ナイフとフォークで食べる老舗洋食店の「洋風からあげ」を味わってきた

ナイフとフォークで食べる『レストラン香味屋』の「チキンの唐揚げ」

からあげを食べるとき、お箸を使う人は多いでしょう。テイクアウト店のものならば串を使うこともありますね。揚げたてでなければ手でひょいとつまんで食べてしまうことも。ではナイフとフォークで食べるからあげというのはどうでしょうか。なんだかオシャレな感じがしますね。今回ご紹介するのは大正14年創業の老舗洋食店、東京・根岸にある『レストラン香味屋』。こちらではナイフとフォークでいただく“洋風”のからあげを味わうことができます。

JR鶯谷駅から徒歩10分ほどにある『レストラン香味屋』
JR鶯谷駅から徒歩10分ほどにある『レストラン香味屋』

オーダーしたのは「チキンの唐揚げ」(2,500円)。居酒屋さんや定食屋さんならば「鶏肉の~」「若鶏の~」などと言うところを「チキンの~」と表現しているところに普段食べているからあげとは少し違った趣を感じます。からあげが盛り付けられたお皿をナイフとフォークが挟み撃ち。これまたいつもと違う眺めです。

ひと口でも食べられるサイズ感ですが、ナイフで半分ほどにカットして食べていきます
ひと口でも食べられるサイズ感ですが、ナイフで半分ほどにカットして食べていきます

さっそく実食といきましょう。ステーキでも食べる要領でからあげを半分ほどにカットします。断面からは肉汁がじわり…。食欲にスイッチが入る瞬間です。

ひと口でも食べられそうなサイズ感ですが、ここはあえてカットして食べてみます。そして口に入れたとき、断面部分を舌の上にのせるようにしてみるとこれがビックリ。肉汁でほどよく潤った断面の舌ざわりがたまりません。優しく舌を撫でてくれるような、トロリと溶かしていくような感覚。肉の旨みも十分で、それがじんわりと浸透していくようです。もう舌神経がメロメロにされてしまいそうな、官能的な美味しさ。衣もしっかり“薄衣”に仕上がっていて、柔らかい肉ともスピーディーに一体化していく印象です。

カットした断面からじわりとにじみ出る肉汁に食欲もジワジワと高まっていきます
カットした断面からじわりとにじみ出る肉汁に食欲もジワジワと高まっていきます

こちらのからあげは、鶏モモ肉を白ワインや卵などを使った特製ダレに漬け込んでいるそうです。からあげに使う酒類といえば日本酒かみりんなどの“和風”のものが一般的ですが、こちらは白ワイン。そのせいか醤油の風味がガツンと迫ってくる和風からあげとは違って、どことなく洋風で爽やかな味わいがありました。

また白ワインは肉を柔らかくする効果が高いという研究報告もあるそうです。しかも赤ワインよりも軟化効果が高いのだとか。衣に歯を立てた時点で、肉に吸い込まれるように歯が沈み込んでいく感覚があったのも白ワインのなせるワザだったのかもしれません。

この断面を舌の上にそっと置くようにしてみると官能的な美味しさを楽しめました
この断面を舌の上にそっと置くようにしてみると官能的な美味しさを楽しめました

いつもはお箸や串などでからあげを食べている私ですが、こんなふうにナイフとフォークで食べる洋風からあげもいいなあと思えました。鶏肉に衣をつけて揚げる、からあげの親戚のような料理は世界中にあります。「からあげに国境はない」といったところでしょうか。お箸でもフォークでも美味しさは同じはずですから。

【店舗情報】
レストラン香味屋
■住所:東京都台東区根岸3-18-18
■TEL:03-3873-2116
■営業時間:11:30~22:00(L.O.20:30)
■定休日:水・木
■店舗ウェブサイト:香味屋WEBサイト

「からあげの聖地」と呼ばれる大分県中津市出身。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。年間の唐揚げ喫食数は平均300食。美味しい唐揚げを求めて各地を巡る「から活」に励んでいる。

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