新幹線より速い時速328キロの最大瞬間風速
最大瞬間風速の記録
最大瞬間風速の日本記録は、昭和41年9月24日に台風26号によって、富士山頂の富士山測候所で観測した毎秒91.0メートル、時速328キロです(表)。
新幹線の最高速度は、東北新幹線の盛岡と新青森間の時速320キロ(東海道新幹線の最高速度は時速285キロ)ですので、これよりより速い風を日本でも観測したことがあるのです。
このように、日本における最大瞬間風速の記録は、全てと言っていいほど台風によるものです。ただ、最大風速の記録となると、低気圧や季節風など、台風以外が原因の場合もあります。
同じ日に2つの台風が上陸
昭和41年9月22日にサイパン島の北東海上で発生した台風26号は、非常に速い速度で北上し、25日0時過ぎに静岡県御前崎の西方に上陸しています(図)。
このため、東北南部から静岡県にかけての平地では、最大風速が毎秒20~30メートル、最大瞬間風速が毎秒30~50メートルの暴風が吹いています。このとき、富士山頂では通常通りの観測が続けられ、最大瞬間風速91.0メートルを観測したのです。
静岡県の北部から山梨県にかけての山間部では、総降水量が200~400ミリとなり、大規模な土石流や河川の急激な増水により多数の死者が出ています。山梨県では富士山麓で土石流により多くの死者がでており、山梨県の死者・行方不明者は170名以上となっています。
また、台風26号上陸してから10時間後、25日10時頃には、高知県安芸市付近に台風24号が上陸し、西日本では大雨となっています。
同じ日に上陸した2つの台風により、全国で死者・行方不明者317名、住家被害1万1000棟、浸水被害5万2000棟などの大きな被害が発生しています。
同じ日に台風が上陸することは、昭和41年の例があるように、希ではありますが、ゼロではありません。
図表の出典:気象庁ホームページ