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見落としはない?確定申告 ここをチェック!「節税で得」するポイント

坂本綾子ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士
(提供:イメージマート)

普通の会社員も確定申告で節税できる

確定申告をする人は、大きく2つに分けられる。申告が必要な人と、申告することで節税できる=得する人だ。必要な人とは、会社員でも年収が2000万円を超える人や個人事業主などで確定申告は義務とも言える。一方、しなくてもとがめられないが、申告することで節税できるのは、会社員(給与所得者)で住宅を買った人、ふるさと納税した人、iDeCoに入っている人、医療費がかかった人、勤務先の年末調整で申告モレがあった人などだ。

会社員は、勤務先が税金の計算を行い給与から天引きして納めてくれる。さらに勤務先に提出する年末調整の書類でいくつかの控除を行うことができる。だから、通常は確定申告の必要はない。しかし、年末調整に間に合わなかった控除や、そもそも年末調整ではできない控除を行いたいときは自分で確定申告することで、節税になるケースがある。

確定申告が必要な人も、毎年のルーティンで、その年、控除できるものをうっかり見落とすと税金が高くなる。

今回は節税につながる確定申告のポイントを紹介したい。

年末調整でモレはないか? iDeCo、家族の社会保険料に注意

会社員は、年末調整でいくつかの控除ができる。保険に入っている人は、毎年、保険会社から送付される書類を添付して、生命保険料や地震保険料を控除しているはずだ。iDeCo(個人型確定拠出年金)に入っている人は、掛金を全額、控除できるから、これも忘れずに記入したい。記入するのは「小規模企業共済等掛金控除」の欄だ。また、家族の社会保険料を払った場合も控除できる。よくあるのは子どもが大学生で20歳になり国民年金保険料を親が払うケースだ。これらは年末調整で控除できるが、忘れていたものがあったら、確定申告で控除しよう。

なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、自分の銀行口座から引き落とす以外にも、勤務先で給与天引きにしてもらうこともできる。その場合は、年末調整や確定申告の必要がない。うっかり忘れることが防げるから、勤務先が対応してくれるなら、給与天引きを利用したい。国も給与天引きを推奨している。

2021年にiDeCo(個人型確定拠出年金)に入った人は加入時期に注意

年末調整では、保険料を支払った証明書を添付する。その書類は毎年10月頃に送付される。2021年にiDeCo(個人型確定拠出年金)に入り、最初の掛金の支払いが10月以降だった場合は、証明書の受取りが年末調整に間に合わないケースがある。そんな場合は、自分で確定申告をしないと、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を控除できない。iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリットの一つは掛金を全額所得控除することで現役時代の税金を減らすこと。このメリットを得られなくなるので、忘れずに確定申告を行いたい。

住宅ローン控除、初年度は確定申告が必要 2022年入居でも1%控除できる人も

住宅ローン控除は、10年間(住宅の種類や入居時期によっては13年間)、税金が優遇される制度だ。住宅ローン控除の対象になる住宅を購入し、2021年中に入居した人が対象(年収などの要件もある)。会社員も初年度は確定申告をしないと控除が受けられないから忘れずに申告したい。2年目以降は年末調整で可能だ

また、2022年以降は住宅ローン控除が改正される予定で、控除率が1%から0.7%に下がる。しかし、次の条件を満たす人は2021年までの住宅ローン控除の仕組みが適用になるので1%の控除が使える上、2022年末までに入居すればよい。注文住宅は2021年9月末までに契約した場合、その他は2021年11月までに契約した場合。コロナ禍に対応する特例だ。

ふるさと納税のワンストップ特例を利用した人は注意

ふるさと納税の人気がますます高まっているようだ。会社員の場合、ワンストップ特例を利用すると、自分で確定申告をしなくてもすむ。ワンストップ特例が利用できるのは、寄付先の自治体が5か所以内で、その都度、各自治体に書類を提出した場合。提出の期限は寄付をした翌年の1月10日まで。つまり、2021年にふるさと納税した人は2022年1月10日までだ。もし忘れている場合は確定申告をしないと控除を受けられない。

また、ワンストップ特例の申告を行っていても、確定申告をすると無効になってしまう。ワンストップ特例と確定申告の両方をした場合は確定申告が優先されるからだ。例えば医療費がたくさんかかったから医療費控除をしようなどと確定申告をする際は、ふるさと納税の分も併せて申告しないと控除が適用にならない。確定申告は、その名の通り、その年の所得を確定させる申告なので、原則、全部の所得や控除を申告しなければならない(一部、申告しなくてもいいケースもある)。

ワンストップ特例では住民税から全額が控除されるが、確定申告を行うと、所得税と住民税から控除される。どちらも合計の控除額は同じだ。

税金を計算する際の控除は2種類、違いを知っておこう

さて、年末調整や確定申告について説明しようとすると、何度も何度も出てくるのが控除という言葉だ。そもそもなぜ控除が節税につながるかというと、課税所得を減らせるから。

税金の計算は次のように行う。その年の収入から、その年、その人が使える控除を引いていく、残った部分が課税される所得=課税所得だ。課税所得に税率をかけて税額を計算する。所得税も住民税も、この仕組みは同じだ。そして、収入から引ける控除を所得控除といい10種類以上ある。つまり、その年に可能な所得控除をすべて使うのが税金を安くするポイントだ。

控除にはもうひとつあり、それは税額控除だ。税額控除は、所得控除を行って1回税金の計算をしたあと、その税金から引くことができる。税額控除は、その金額分が節税になるので、節税効果が大きいのが特徴。住宅ローン控除は税額控除だ。

例えば、ローン残高が2000万円で1%控除できるということは、2000万円×0.01=20万円の所得税を控除できる=節税できるということ。

ふるさと納税は、まず所得控除を行った上で、特例を使って税額から控除する仕組みになっている。

税金について普段はあまり意識していない人が多いと思うが、確定申告の季節には税金について考えたい。実際に節税につながる控除があるなら忘れずに申告して得したい!

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士

雑誌記者として22年間、金融機関等を取材して消費者向けの記事を執筆。その経験を活かしてファイナンシャルプランナー資格を取得。2010年より、金融機関に所属しない独立した立場で、執筆に加えて家計相談やセミナー講師も行う。情報の取捨選択が重要な時代に、それぞれの人が納得して適切な判断ができるよう、要点や背景を押さえた実用的な解説とアドバイスを目指している。

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