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「米がない」「コメ不足」と騒ぐ裏で大量の米を無駄に捨て続けるのはなぜなのか #専門家のまとめ

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
コメ(写真:イメージマート)

「米不足」「米品薄」など市販の米が購入できない事態が相次いだ。SNSには空の商品棚の写真が投稿され、マスメディアは「令和の米騒動」と報じた。理由として2023年の酷暑による白未熟粒やインバウンド需要の増加が挙げられたが、必ずしも断定できないとする専門機関の見解もある。新米が出てくる今の時期だが、価格高騰も報じられている。これだけ品薄にもかかわらず、その裏では捨てられる米があるという。なぜなのか。

ココがポイント

調査できたスーパーは5社程度(中略)、おおむね、精米して1ヶ月から40日、50日程度で、どのスーパーも商品棚から撤去している
出典:Yahoo!ニュースエキスパート井出留美 2024/7/15(月)

6ヶ月間の賞味期限のコメの販売期限は5ヶ月、賞味期限が切れる1ヶ月前に廃棄となる
出典:Yahoo!ニュースエキスパート井出留美 2024/7/15(月)

大手コンビニチェーンについて、1店舗につき年間平均468万円相当の食品を廃棄しているとの推計を発表
出典:BBC NEWS JAPAN 2024/6/27(木)

日本フードエコロジーセンターは、毎日大量に破棄される食品を、養豚のための飼料に加工する事業を行っています
出典:SDGs情報発信メディア Sus&Us-サスアス- 2024/8/21(水)

エキスパートの補足・見解

ある大手コンビニでは「先物取引で米をおさえているから(世間が米不足だろうが)まったく問題ない」と社員が話していたとのこと。コンビニ会計により本部は捨てても損をかぶらないから問題ないということだろう。

「米がない」「お金がない」というとき、米や金を増やそうと考えるのが普通だ。だがその前に、今ある米や金を無駄にしていないか振り返り、無駄を無くすことも必要ではないだろうか。

食品業界には「欠品ペナルティ」がある。小売に納める商品は品切れしてはならず、品切れしたら、失われた売り上げ分をメーカーが小売に支払うことがある。欠品したら取引停止と言われることもある。おにぎりや弁当を作る工場では前もって米飯を炊いておかなければならない。

農家や米穀専門店では、収穫した米は玄米で保管する。米の品質を保つためだ。スーパーでは精米して一カ月強経った米は商品棚から撤去される。複数のスーパーに取材したところ、捨てる、従業員に安く売る、寄付する、米納入業者に返品し外食産業にまわすとの回答だった。効率や便利さを求め精米しておくのだろう。日本の労働生産性は1970年以降50年以上、G7で最下位だ。何のための効率化だろう。

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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