仙台で再び観測史上最早の開花 新平年値で桜の開花日はどうなる?
きのう3月28日、仙台のソメイヨシノが開花しました。平年より14日も早く、観測史上最も早かった去年と並び、最早タイ記録となりました。今年は全国的な「超早咲き」が目立っていますが、東北地方も例外ではなく、25日に開花した福島は、去年の最早記録を3日も上回る早咲きになりました。
ポイントは春先の気温の高さ
上の図は、仙台の11月上旬~3月中旬にかけての旬ごとの平均気温を、平年、昨季(2019-20)、今季(2020-21)で比較したものです。今季は、冬の前半にたびたび寒波がやってきて、気温は平年よりも低くなりました。それが桜の休眠打破を促し、その後は気温の高い日が続いたために、一気に開花に至ったのではないかと考えられます。
ただ、ここで一つ疑問が残ります。去年と今年、開花日は同じですが、冬の前半の気温には明らかな違いがあります。今季は寒冬、昨季は記録的な暖冬でした。それにもかかわらず、開花日が同じ。これは、仙台はもともと気温が低い地域のため、暖冬といえども休眠打破に十分な寒さはあったのだろう考えることができます。仙台の場合、どちらかといえば、冬の寒さよりも、春先にどれだけ暖かくなるかが、開花日を決めるポイントになっているように思います。
桜の開花 "新平年値" の傾向は?
先日、気象庁は、5月19日から使われる予定の「新平年値」を先行して公表しました。現在使われている平年値は、1981年~2010年までの平均ですが、新平年値は、1991年~2020年までの平均で、より最近の気候が反映されたものになります。
それによると、仙台の開花日は、現平年値では4月11日ですが、新平年値では4月8日と、3日早くなります。そのほか、北日本や東日本では、2日程度早くなる地点が多くなっています。一方で、西日本は1日程度というところが多く、四国や九州では、現平年値と新平年値が変わらないという地点もあります。
桜は、冬にある程度の寒さにさらされないと、休眠打破が鈍くなり、開花が遅れる傾向があります。もともと温暖な西日本ほど、その傾向は強く現れます。新平年値での北日本・東日本と西日本の差には、近年の気温の高さの影響が出はじめているのではないかと推察しています。
▼参考資料
気象庁ホームページ「平年値の更新について」