高年収層では約2/3…世帯ベースでのタブレット型端末の保有状況をさぐる(2019年公開版)
全体では40.1%
パソコンの補完的な利用のためのセカンドマシンとして以前から注目されていたが、価格の高さから普及度合いが今一つだったタブレット型端末も、この数年の間に「廉価端末の登場」「インフラ整備によるインターネット接続環境の改善」「タブレット型端末独自の利用スタイルによる有益性の確認」「電子書籍端末としての使いやすさ」など多様な理由により、急速に普及が進んでいる。今回は総務省が2019年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、日本の世帯ベースでのタブレット型端末の保有(普及)状況を確認する。
今調査対象母集団ではパソコンを使ってインターネットを利用している人(個人ベース)は48.2%、一方でタブレット型端末を使ってインターネットへのアクセスをしている人は20.8%との結果が出ている。
それでは世帯単位(個人単位ではない。世帯内の誰かが保有、さらには世帯全体での保有も該当する)で、タブレット型端末の普及状況はどれほどなのか。主要属性毎の動向だが、全体では40.1%。大体5世帯に2世帯でタブレット型端末が存在している計算になる。2017年は36.4%なので、3.7%ポイントの増加。
世帯主の年齢階層別に見ると30代がもっとも高い値で53.2%、40代がほぼ同じの53.1%。この年齢階層がボリュームゾーン。50代以降はある程度値を下げるが、それでも1割を切ることは無い。高齢層が世帯主の世帯でも10世帯に1世帯から3世帯がタブレット型端末を持つ時代との認識ができる。
一方世帯内の家族構成別に見ると、高齢者がいる世帯では低めで、子供がいる世帯では高めの値が出ている。「子供」の要素がある世帯では5割台で、多分に子供の遊具・学習ツールとしてタブレット型端末を利用している状況が想像される。これは最上記のグラフ、個人の年齢階層別利用率において、6~12歳のタブレット型端末の利用率が3割強の値を示していることからも納得できる。
世帯年収別では高年収ほど保有率は高い。高年収世帯のライフスタイルには、機動力の高いパソコン的な立ち位置にあるタブレット型端末は、まさに「鬼に金棒」なのだろう。
世帯に何台あるのか
上のグラフは「世帯内にタブレット型端末のあるなし」だけの話で、台数までは明らかにされていない。それこそ世帯内に1ダース存在しても、1台のみでも、「保有」には違いない。
そこで各属性別に「世帯内でタブレット型端末が何台あるか」までを記したのが、次以降のグラフ。まずは世帯主年齢別。
保有率上位の30代をはじめ30~40代のボリュームゾーンでは、2台持ち、3台以上持ちの比率も比較的高め。他方、50代では3台以上持ちの割合がもっとも高い。金銭的余裕ができること、そして子供の成長の過程で世帯主自身の分、さらには子供向けの双方、または世帯主と配偶者が別個それぞれに保有するようになる状況が想定できる。単価も随分と安いものが登場しているので、携帯電話のようにプライベート端末として構成員それぞれが保有している世帯も少なくあるまい(家庭内の無線LANで利用すれば、台数が増えても運用コストの増加は気にならない)。
他方20代は単身世帯が多く、また金銭的余裕も無く、子供がいる世帯も少ない。単数台保有が大部分を占めているのも納得がいく。一人暮らしで複数台タブレット端末が必要な状況は考えにくい。高齢層も状況は似たようなものだろう。
続いて世帯構成と世帯年収別。
単身世帯で2台以上の持ち主はやはりレアと考えられるのだが、実態としては合わせて2.8%確認できる。新型機に買い替えた上で従来機も残しているのか、OS別に保有しているのだろうか。または自宅専用と外出用といった状況も想定できる。あるいは用途別に用意しているのかもしれない。一方、子供がいる世帯は複数台保有率が高め。保護者と子供の双方保有が想像できる。
そして世帯年収別では高年収ほど複数台持ちも多い。世帯年収による保有率の上昇は、単に保有する・しないだけでなく、保有台数の増加も伴っていることが分かる。特に2000万円以上世帯における「3台以上が11.2%」との結果は注目に値する。
今はまだ世帯ベースでも4割ほどのタブレット型端末だが、今後さらに飛躍する可能性は多分に秘めている。特に子供向けの玩具、情操教育端末として注目を集め、その裏付けとなる保有率・利用率のデータが次々と確認され、おもちゃ売り場の商品にもスマートフォンと並び、タブレット型端末を模したものをよく見かけるようになった。これからタブレット型端末はどこまで世帯に浸透していくのだろうか。
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※通信利用動向調査
2018年分は2018年10~12月に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対して、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(企業向けは一部オンラインでも実施されている)。有効回答数はそれぞれ1万6255世帯(4万2744人)、2119企業。世帯調査における調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。
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