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アナウンサーに「清廉性」は必須条件なのか?日テレ訴訟 第1回口頭弁論

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

東京・銀座でのクラブホステスのアルバイト経験を理由にアナウンサー職の内定を取り消したのは不当として、大学4年の笹崎里菜さん(22)が日本テレビに27年4月から就業できるよう地位確認を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、東京地裁(芝本昌征裁判官)であった。

出典:「『傷が付いたアナウンサーを使える番組はない』と内定取り消され…」 ホステスアルバイトの大学生VS日テレ訴訟 第1回口頭弁論

「傷が付いたアナウンサー」。これはまた時代錯誤な内定取り消しでの提訴がはじまった。

「高度の清廉性が求められるアナウンサーの採用過程で、ホステス経験を申告しなかったのは虚偽申告にあたる」とされたという。笹崎さん側は「全てのアルバイト歴の申告まで求められなかった」「ホステス経験で清廉性に欠けるというのは偏見」と主張している。

出典:ホステスバイト歴でアナ内定取り消し 日テレを提訴

アナウンサーという職業は、「高度な清廉性」が求められ、「ホステス(のバイト)は清廉性がない」という論調だ。「清廉性」とは、「心が清らかで,私欲のない・こと(さま)」。

これはホステスという接客業の職業に対する完全な偏見だ…。職業蔑視だけでなく、業界そのものが、理想の女性像をアナウンサーに投影していないか?さらに、この「清廉性を求める」をひっぱりだしてきたことによって「ホステスは、心が汚く、私欲がある」と逆に読み取られてしまう。

アナウンサーは会社員でありながら、タレントという立場もあわせもつ非常に特殊な職業だ。しかし、原稿を読み、ニュースを届ける人は、政治家のような聖人君子ぶりが、果たして求められているのだろうか?

日本テレビの社員は、清廉性のない銀座のクラブに客としていくこともできないのだろうか?そうではない。

自分は客としてはいけるが、そこで働かれた人は嫌だという未熟な精神構造の裏返しだ。

これは、自分は、風俗には行くが、風俗で働いた女性は奥さんにはもらいたくない…という精神構造とまったく一緒だ。清廉性を求めるには、己も清廉性があるべきだろう。

採用試験で、出自を徹底的に調べる、家柄、年齢、家族構成まで、しつこくここまでこだわるのは、おそらく日本だけだ。年齢などを聞いて採否に影響を与えるのは違法という国もある。それだけ人を見極める能力がない裏付けでもある。

また、放送局として、後でアナウンサーが、元・ホステスであったことが露見するリスクがあるだろう。

しかし、法律を犯しているわけでもなく、元ホステスのアルバイトだろうが、局としての可能性を見て、採用したことに、誇りを持って毅然とした対応をすればよいだけではないだろうか?

アナウンサーに、オトコの勝手な女性の理想像を追い求める幼稚性からまず卒業するべきだろう。

先月も「AV女優が日経新聞記者でもいいじゃないか!」という記事を書いたが、日本の社会全体が稚拙な、子供のようなイジメ社会の雰囲気で満ちている。

ぜひ、この裁判で勝利を勝ちとり、日本テレビのアナウンサーとして登場し、「ホステスのバイトで何か問題でも?」と開き直ってほしい。

まずは、女性の抱える社会問題を、提訴したことによって、さらにバッシングすることだけはさけたいものだ。

女子高生の人気職業であるキャバクラでバイトしたら、社会人になった時に会社に就職できなくなるというような判例結果にならないことも望む。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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