アナウンサーに「清廉性」は必須条件なのか?日テレ訴訟 第1回口頭弁論
KNNポール神田です!
「傷が付いたアナウンサー」。これはまた時代錯誤な内定取り消しでの提訴がはじまった。
アナウンサーという職業は、「高度な清廉性」が求められ、「ホステス(のバイト)は清廉性がない」という論調だ。「清廉性」とは、「心が清らかで,私欲のない・こと(さま)」。
これはホステスという接客業の職業に対する完全な偏見だ…。職業蔑視だけでなく、業界そのものが、理想の女性像をアナウンサーに投影していないか?さらに、この「清廉性を求める」をひっぱりだしてきたことによって「ホステスは、心が汚く、私欲がある」と逆に読み取られてしまう。
アナウンサーは会社員でありながら、タレントという立場もあわせもつ非常に特殊な職業だ。しかし、原稿を読み、ニュースを届ける人は、政治家のような聖人君子ぶりが、果たして求められているのだろうか?
日本テレビの社員は、清廉性のない銀座のクラブに客としていくこともできないのだろうか?そうではない。
自分は客としてはいけるが、そこで働かれた人は嫌だという未熟な精神構造の裏返しだ。
これは、自分は、風俗には行くが、風俗で働いた女性は奥さんにはもらいたくない…という精神構造とまったく一緒だ。清廉性を求めるには、己も清廉性があるべきだろう。
採用試験で、出自を徹底的に調べる、家柄、年齢、家族構成まで、しつこくここまでこだわるのは、おそらく日本だけだ。年齢などを聞いて採否に影響を与えるのは違法という国もある。それだけ人を見極める能力がない裏付けでもある。
また、放送局として、後でアナウンサーが、元・ホステスであったことが露見するリスクがあるだろう。
しかし、法律を犯しているわけでもなく、元ホステスのアルバイトだろうが、局としての可能性を見て、採用したことに、誇りを持って毅然とした対応をすればよいだけではないだろうか?
アナウンサーに、オトコの勝手な女性の理想像を追い求める幼稚性からまず卒業するべきだろう。
先月も「AV女優が日経新聞記者でもいいじゃないか!」という記事を書いたが、日本の社会全体が稚拙な、子供のようなイジメ社会の雰囲気で満ちている。
ぜひ、この裁判で勝利を勝ちとり、日本テレビのアナウンサーとして登場し、「ホステスのバイトで何か問題でも?」と開き直ってほしい。
まずは、女性の抱える社会問題を、提訴したことによって、さらにバッシングすることだけはさけたいものだ。
女子高生の人気職業であるキャバクラでバイトしたら、社会人になった時に会社に就職できなくなるというような判例結果にならないことも望む。