「ゆかり」「赤福」の2強に迫るのは? ネクストブレイク候補ひしめく名古屋土産。変わる勢力図
金ピカ効果で首位を快走! 名古屋の人による手土産需要を獲得
名古屋土産が最も売れる場所といっても過言ではない名古屋駅のキヨスク。旅行やビジネスで名古屋を訪れる人、名古屋から他府県の友人知人に会いに出かける人は、一体どんなお土産商品をチョイスしているのでしょう? まずは「名古屋駅KIOSK お土産ランキング」を元に上位商品を紹介します。
1位 「ゆかり」 (坂角総本舖)
年間を通して不動の1位は海老せんべいの「ゆかり」! 海老せんべいは名古屋、愛知のご当地菓子のひとつで生産の9割をこの地域が占めています。中でも高級感があり贈答品として安定した人気を誇るのがゆかり。バリッと小気味よい歯ざわりからぜい沢な海老の香りが広がります。
「2006年に発売した黄金缶がご好評いただいています。“名古屋らしさ”が伝わりやすいため、名古屋の方がお出かけ先への手土産としてご購入されるケースも多いんです。2022年2月には缶、包装紙ともによりゴールドの輝きが増すようリニューアルし、いっそう名古屋らしさをアップさせています」(坂角総本舖広報・山田弥生さん)
2位 「赤福餅」 (赤福)
続くのは赤福餅。江戸時代からお伊勢参りの人たちに親しまれてきた300余年の歴史を誇る伊勢の名物です。なめらかで上品なこしあん、柔らかくもコシがある餅というシンプルな組み合わせで、いつ食べても変わらない、何度食べても飽きない美味しさで愛され続けています。ゆかり、赤福餅のツートップはランキング上位の中でも別格的な存在感を放っています。
「新幹線の駅で購入できる最東端が名古屋駅。関東圏では買えないことも価値を高めているのではないでしょうか。“東海の銘菓”とイメージされていて、『名古屋へ行ったら買ってきてよ』とリクエストされることも多いようです。お土産だけでなく、お家で召し上がる自家需要の高さにも支えていただいていると感じます」(赤福名古屋営業所所長・森脇晃子さん)
3位 「小倉トーストラングドシャ」 (東海寿)
老舗の銘菓に続くのは2011年発売の新名物。名古屋の喫茶店ではおなじみの小倉トーストをモチーフにしたチョコをサンドしたクッキーです。パンをイメージした四角い形に、小倉あん風味のチョコと、見た目も味わいも小倉トーストに寄せたこだわりで見事トップ3入り。この商品のヒットで小倉トースト系のスナックが増え、本家・小倉トーストの人気アップにも貢献しました。
「発売当初は小倉トースト系のお菓子はなかったのでとにかく一度召し上がってもらおうと試食販売に力を入れました。今も毎週末、グランドキヨスクをはじめ名古屋駅のコンコース売店4店舗で試食品をお配りしています。こうした地道な取り組みが徐々に身を結び、今では1日4万枚が売れるほどになりました」(東海寿支配人・小村祐二さん)
4位 「うなぎパイ」 (春華堂)
静岡県浜松市の“夜のお菓子”が4位にランクイン。1961年の発売から60年以上の歴史があるロングセラーです。浜松名産であるうなぎをテーマにした、うなぎの粉を使ったパイ生地の焼き菓子で、さくさくした食感の奥からうなぎの濃厚なコクがにじみ出てきます。
「愛知と浜松はうなぎ食の文化など似ている部分があるので、名古屋、愛知でも当社のうなぎのお菓子が受け入れられたかと思います。浜松・浜名湖のお菓子ですが“愛知のお土産かと思っていた!”とのお声もあり、それほど名古屋、東海地方の方々にご愛顧いただいていることをうれしく思っています」(春華堂広報室・高橋睦美さん)
名古屋駅の人気上位に三重県、静岡県の銘菓が入っている理由とは?
上位4品の順位は1年を通してほぼ不動。それぞれ盤石の人気を誇っています。
それ以外のものも含めて、名古屋駅のキヨスクの人気商品の全般的な傾向を担当者はこう語ります。
「かつては名古屋土産といえばかさがあって重量感があるういろうなどが多かったのですが、最近はコンパクトサイズで軽いものが好まれます。赤福餅は別として、ゆかり、小倉トーストラングドシャ、名古屋バトンあんバター、お抹茶ショコラなどが人気です」(名古屋駅のキヨスク店舗を運営するJR東海リテイリング・プラス中部支社商品部の伊藤良幸さん)
名古屋駅の人気商品でありながら、三重県の赤福餅、静岡県のうなぎパイ、東西の隣接県の銘菓がトップ4に入っているのも興味深いところです。
「赤福餅、うなぎパイは知名度、看板力があり、高速道路や空港などでも広く展開していて目にふれることが多い。他エリア、特に遠方から来る方は三重も静岡も“中部”というひとくくりでとらえていて、中部エリアの人気商品として購入していく方が多いのではないでしょうか」(伊藤さん)
トップ4の牙城を崩すのは人気キャラ、店舗とのコラボ!?
トップ4が安定している一方で、5位以下は変動が激しいのも特徴。そしてこの入れ替わりが活発なランキングにこそ期待の新商品がラインナップされているよう。
「5位以下は、ぴよりんやコメダ珈琲店のコラボ商品など、新たなムーブメントによって変動する可能性が高い。また、コロナ禍でどのメーカーも生産体制に苦慮していて、製造数を制限しているところもあります。供給体制が整ってくればグッと伸びてくるメーカーもあるのではないでしょうか」(伊藤さん)
ズバリ、トップ4に割って入る可能性があるのはどんな名古屋土産商品なのでしょう?
「ぴよりん、コメダ珈琲店、味仙など、人気のキャラクターや有名店とのコラボ商品がやはり強いですね。『ぴよりんかたぬきバウム』は現状、JR名古屋駅の弊社店舗のみの販売ということもありよく売れています。コメダ関連では今年3月発売の『コメダ珈琲店の小倉トーストサブレ』、10月発売の『シロノワールバトン』とラインナップも充実。味仙も『みせんべい』『うみぁーっ手羽 味仙台湾ラーメン味』と何種類もコラボ商品が出ています。新ブランドをイチから認知させるのは大変ですが、コラボ商品なら新発売でも手に取ってもらいやすく、上位に食い込む可能性もあると期待しています!」(伊藤さん)
安定した人気を誇る上位勢に、人気の名古屋めしブランドなどの知名度に乗っていきなりのブレイクもあり得るコラボ商品。もともと名古屋めしテイストの名古屋土産スナックは“手羽先風味”の独壇場でしたが、勢力図にはかなり変化が見られるようです。個人的には、地元では人気復権の気運が高まっている伝統銘菓・ういろうの巻き返しにも期待したいところです。
そんな新たなトレンドや、売れ行きの動向にも目を配りながら名古屋土産を買い求めれば、おいしい味わいと合わせて土産話にも花が咲きそう。次のお出かけの際、あなたはどんな名古屋土産を選びますか?
(写真撮影/すべて筆者)