パナソニックのロビー・ディーンズ監督、コーチは「負けず嫌い」が向く?【ラグビー旬な一問一答】
日本最高峰のラグビートップリーグが12月3日、約1か月間の中断期間を経て再開する。3連覇中のパナソニックは序盤にすでに2敗も、捲土重来を期す。4日、群馬・太田市陸上競技場でクボタとの第10節に挑む。
11月に日本代表の活動に参加していた堀江翔太、田中史朗らも戦列に復帰。11月30日、群馬県太田市の練習場でロビー・ディーンズ監督が抱負を語った。
現役時代はニュージーランド代表として5キャップ(テストマッチ=国同士の真剣勝負へ出場した証)を獲得したディーンズ監督は、これまでカンタベリーカントリー・U21(21歳以下)コーチ、カンタベリーカントリーコーチを経て、1997年よりニュージーランド州代表選手権(NPC、現在のITMカップ)のカンタベリー州代表ヘッドコーチに就任。優勝を果たした。
2000年からはクルセイダーズのヘッドコーチとなり、就任初年度のスーパー12(現在のスーパーラグビー)を制覇。以後、通算5度、王座に就いた。2007年12月からはオーストラリア代表のヘッドコーチとなり、2011年のワールドカップニュージーランド大会で指揮を執った。
ディーンズ監督が就任3年目のパナソニックでは、田邉淳バックスコーチも高い評価を受ける。日本代表、スーパーラグビーの日本チームにあたるサンウルブズでもアシスタントコーチを務めている。ディーンズ監督は田邉コーチの話題に触れ、プロコーチのあるべき資質についても触れた。
以下、一問一答(編集箇所あり)。
――トップリーグ後半戦、始まります。
「前半戦の最後、チームに勢いが出ていた。できれば流れを止めたくはなかったけど、シーズンの構成上それは仕方のないことでした。色々なチームから選手が戻ってくるなか、ひとつのチームを作らなくてはならない。前半戦の最初と同じようなチャレンジが待ち構えていると思います(開幕前も主力組がスーパーラグビーに参戦していた)。ただ、10月にいいプレーをしてきたし、11月も国際試合に出ていない選手がここでいい練習をしてきた。代表から帰ってきた選手も、パナソニックでプレーがしたいという意欲を持ってくれています(取材時はメンバー発表前だったが、クボタ戦では堀江、田中がリザーブ入りし、山田章仁と布巻峻介が先発すると発表された)」
――ジャパン組は帰国して間もなく練習に合流。
「個人の体調を把握したうえで、(当該の選手が)チームにとって必要であるという部分を考慮した結果、こうなりました。1人ひとり状態は違いますが、ホームゲームですので。日曜日開催。他のチームより1日多く準備ができるのは、いいことだと思っています」
――初の大学生トップリーガーとなった筑波大学の山沢拓也選手について。随分と遅くまで居残り練習をされていますね。
「自分自身で、できる人。ただ待つのではなく、自分からイニシアチブを取れる選手、どうやって自分を成長させるかを考えている選手は、必ず成長できます」
――日本代表のツアーを振り返ってください。
「タフだったとは思いますが、非常にいいツアーでした。パナソニックからも、初めて代表でプレーできた選手が生まれた。自分のラグビーにとって何が大事なのかが、明確になったのではないでしょうか。間違った判断をすると、それに伴うものが非常に重要なものになるということも、学んでくれたと思います」
――かねて準備期間の短さが指摘されていました。
「ジェイミーとブラウニー(ジェイミー・ジョセフヘッドコーチとトニー・ブラウンアタックコーチ)にとっては、今回がスタート。選手たちのことをより知れたと思いますし、自分たちのしたいラグビーも明確になったのだと思います」
――田邉コーチも帯同しました。
「期待されていることは、彼自身がわかっていると思います。どんな経験も、彼にとってはいい経験になると思います。彼は常に競争意識の強い、いい部分をたくさん持っているコーチだと思います」
――「競争意識」とは。
「常に競争に身を置きたい、ということ。負けん気が強い、といったところでしょうか。コーチとして成功するには、そういう資質は重要です。この業界にいる以上は、勝ち負けを楽しんで、自分がどう成長できるかを探し、楽しむ…」
――ロビーさんも、負けず嫌いなのですね。
「周りの人がラグビーというゲームを楽しむ。それを助けることを、楽しんでいます。コーチ業は引退後の1年だけで終わると思ったら、いまでもやり続けている。周りの方に感謝しています」