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続・僕がツイッターの面白系botをRTしないワケ

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ より「効率的に」盗用コンテンツを用いて集客を試みる仕組み

より効率よく、より多数を「網にかける」仕組み

先日僕がツイッターの面白系botをRTしないワケで取り上げた、盗用(パクリ)コンテンツによるツイッター上での集客botの仕組みだが、さらに色々と調べていくうちに、より「効率よく」「多数の人に周知される」仕組みが確認できた。そこで今回はその仕組みの解説を介し、注意喚起を行うことにする。

仕掛け側においては、パクリコンテンツで集客してフォロワーを増やし、広告ツイートの閲覧機会を増やすのが最終目的となる。まずは複数のアカウントを用意し、それぞれに広告用のツイートを流す。そして注目されるコンテンツを1つずつ別々にツイートする。このツイートは自分で考えるのではなく、他所からのパクリ。多数の人が公式RTしたもの、はてなブックマークなどでチェックが多数に及んだもの、ボケて(bokete)で多くの評価を得たものなど、とにかく「他人に受けた」実績があり、ツイッターに表示して目に留まりそうなものを選ぶ。

↑ 個々のアカウントで広告のツイート、そしてパクリコンテンツをツイート
↑ 個々のアカウントで広告のツイート、そしてパクリコンテンツをツイート

続いて個々のアカウントで、他のアカウントがツイートしたパクリコンテンツのツイートを公式RTする。するとそれぞれのアカウントのタイムライン上では、「自アカウントの広告ツイート」「自アカウントのパクリコンテンツによるツイート」以外に「他(の自分管理の)アカウントによるパクリコンテンツでのツイートを公式RTしたツイート」が並ぶ。公式RTは「他人のツイートであることが明らかにされ」ながら、自分自身がツイートしたような表記でタイムライン上に現れる。この仕組みを使えば、コピー&ペーストよりも気軽に、コピー的に他社のツイート内容を自分のものとしてツイートできる。

↑ それぞれのアカウントで、他の自管理アカウントがツイートした、パクリコンテンツによるツイートを公式RTする
↑ それぞれのアカウントで、他の自管理アカウントがツイートした、パクリコンテンツによるツイートを公式RTする

これでそれぞれのアカウントが、最小限のパクリコンテンツで、それなりに数の揃った「面白コンテンツをたくさんツイートするアカウント」に生まれ変わる。図の事例の場合、パクリコンテンツを3つ用意するだけで、「3つの面白(パクリ)ツイート」を発するアカウントが3つ生まれることになる。3×3=9つも盗用する必要はない。

複数のアカウントで実行する意味

複数のアカウントを用いて同じパクリコンテンツを公式RTすることに、何の意味があるのか? これは特定のパクリコンテンツを表示させる機会を出来るだけ多くするのが目的。

↑ 別々の複数のアカウントでタイミングをずらしてパクリコンテンツを表示させることで、より多くの人たちを網にかけることができる(緑地は公式RTされたもの)
↑ 別々の複数のアカウントでタイミングをずらしてパクリコンテンツを表示させることで、より多くの人たちを網にかけることができる(緑地は公式RTされたもの)

パクリコンテンツはいずれも興味を持たれる可能性が高い。しかし万人に受けるとは限らない。特定の属性には注目されるものの、たまたまウケそうな人がツイートを確認している時に表示されるとは限らない(そしてツイッター利用者は概して、自分のタイムラインをすべて網羅してチェックすることは無い。アクセスした時に目に留まったツイートのみを読むので精一杯となる)。

そこでタイミングをずらし、多数のアカウントで表示させ、機会を増やす。それにより、同じパクリコンテンツの量で、見てもらい、興味関心を持たせ、フォローしてもらう可能性を増やすわけだ。

例えるなら「駅と駅の間の線路脇に看板を1つ置けば、その区間の電車を使った人はすべて見る可能性がある」「しかしその看板の場所を電車が通過した際、窓越しにその看板を見る人は少数に過ぎない」「その区間内の複数か所に看板を併設することで、電車利用者に見てもらえる可能性は増える」という次第である。現物の看板は枚数分だけ手間暇費用がかかるが、ツイッターの公式RTならば単純なコピーと同じ。公式RTのボタンを押すだけで済み、手間はゼロに等しい。

上の図の例なら、左側の人は「面白1」のコンテンツに興味を持ち該当アカウントのAをフォローするかもしれないが、その時にアカウントBやCの公式RTによるツイートを見ていた場合、「面白1」はその時点ではタイムライン上には無い。つまり仕掛け側にとっては、機会を逃すことになる。要は手持ちのパクリコンテンツをより多くのタイミングで、より多くの人に観てもらうため、公式RTを使う次第である。

また公式RTの順番を巧みに入れ替えれば、上記の例ならアカウントAとBとCは別物のアカウントのように見せかけることができる。盗用コンテンツを多数用意し、同じ系統のツイートを多めに公式RTすることで、それらしい属性を持たせることも出来てしまう。例えば猫系、一発芸系、びっくり画像系、アドバイス系、などなど。

この事例では広告ツイートを各アカウントが自らツイートする設定。しかし先の記事のように別途広告ツイートのアカウントを準備し、そのツイートを公式RTすることで、さらに偽装を巧みなものとすることができる。

何が問題なのか

「素直に面白いツイートを公式RTすればいいのでは? わざわざ盗用しなくても」と思う人も多いはず。しかし単なる公式RTでは、相手がツイートそのものを取り消してしまうかもしれない。また、公式RTされたツイートそのもののアカウントをたどり、そちらをフォローする可能性があることを考えれば、仕掛け側にとってはわざわざ「獲物」を第三者に渡す必要などない。さらにツイート以外の関心を集めそうなコンテンツを使い、より効果的な集客をするためには、すでに実績のあるコンテンツをパクるのが一番手っ取り早い。

この類のワナを仕掛ける側は、手を変え品を変え、善良な人たちを虜にしようとする。そして繰り返しになるが、今件が問題なのは、盗用したコンテンツをあたかも自分の創作物であるかのように披露し、それをビジネスのタネとして使う点にある。個々の集客用ツイートが自分の創作ならば何の問題も無い。

ちなみにこの仕組みを用いた場合、当然公式RTのほとんどは、同一人物(グループ)の運用によるものとなる。よって公式RTされているアカウントを順にたどると、芋づる式に関連アカウントが抽出できる。一部はダミー的に第三者のアカウントの公式RTをしている場合もあるが、各アカウントのツイートをさかのぼれば白か黒かはすぐに判断できる。

あとは何を成すべきか。各個の判断にお任せしたい。

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ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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