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投打とも異次元の強さ! 大阪桐蔭が圧勝でセンバツV4

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭が3試合連続2ケタ得点で4年ぶり4度目の春の頂点に立った(筆者撮影)

 「異次元」という言葉がぴったり当てはまるほどの強さ。それほどまでに今春の大阪桐蔭は圧倒的だった。近江(滋賀)の絶対的エース・山田陽翔(3年=主将)の状態が万全でなかったとはいえ、投打につけ入るスキを与えない18-1の圧勝劇。それは今大会のトータルの数字にも表れている。

大会18本塁打中11本放つ

 この日もチームとして、3番・松尾汐恩(3年=タイトル写真は昨秋近畿大会時)の2試合連続弾を含む4本塁打を放ち、計11発。これはPL学園(大阪)が持つ8本のセンバツ記録を、38年ぶりに大きく更新するチーム最多本塁打。不戦勝があるため、わずか4試合での数字で、今大会全体の本塁打が18本だから、いかにすごいかがわかる。市和歌山戦での1番・伊藤櫂人(3年)の1イニング2本塁打もセンバツ初で、初戦で当たった鳴門(徳島)の好左腕・冨田遼弥(3年)の前に湿り気味だった打線が、終盤戦で一気に満開となった。

十分に調整して圧倒的打力発揮

 西谷浩一監督(52)は、広島商との2回戦が不戦勝となったことを残念がったが、1回戦の反省を踏まえ、この期間に十分な打ち込みを行った。これがのちの3試合連続2ケタ得点と11本塁打につながったと言える。日程的に不利とされる1回戦最後の登場で、2回戦を戦っていればその後は試合が立て込む。打線が調整不足のままなら、ここまでの圧倒的な打力を発揮できただろうか。

前田は13回で23奪三振

 そして、エース・前田悠伍(2年)の安定感には、ただただ脱帽するしかなかった。昨秋よりもさらに風格が出て、完全に相手を見下ろして投げている。2試合で13回を投げ、被安打3、失点1の自責0三振は毎回の23個を奪った。近年の甲子園でこれだけ完璧な投球を見せた投手は記憶にない。打たれる姿が想像できないと言い切ってもいいくらいだ。

「神宮枠」導入後初の「秋春連覇」

 これで西谷監督は甲子園通算61勝目。奇しくも滋賀県勢の春夏甲子園勝利数と同じだ。智弁和歌山の高嶋仁・前監督(75)の最多記録「68」も射程圏にとらえた。前田の在学中に更新しそうな勢いで、PL学園元監督の中村順司氏(75)に6厘差と迫った勝率でも、トップに躍り出るのは時間の問題。また大阪桐蔭の甲子園決勝は9戦全勝となった。さらに平成15(2003)年の「神宮枠」導入後、神宮大会優勝校はセンバツで優勝できないというジンクスも、いとも簡単に打ち破り、「秋春連覇」を達成した。

近江も二つの記録を打ち立てる

 大敗で滋賀県勢の甲子園初優勝を逃した近江も、新たな歴史をつくった。開幕前日の繰り上げ出場からの快進撃は見事の一言に尽きる。過去、繰り上げ出場校の最高成績が8強だったこと。滋賀県勢のセンバツ最高記録が8強だったこと。この二つを、一気に2勝分も更新した。昨夏4強、そして今春は準優勝。夏は頂点しかない。山田の状態を万全にし、さらに戦力を整えて、夏の甲子園を沸かせてもらいたい。

大阪桐蔭に迫るのは?

 大阪桐蔭の圧倒的強さだけが印象に残った大会ではあったが、夏に向けた戦いはすでに始まっている。直前のコロナ禍で出場を辞退した京都国際や、昨夏覇者の智弁和歌山、関東では東海大相模(神奈川)などが、チーム力で大阪桐蔭に迫ると言われている。大阪桐蔭が狙うのは3度目の春夏連覇。これを阻止するチームが現れるか、楽しみに待ちたい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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