鉛筆は何故「トンボ」なの?数ある昆虫の中からこの虫が選ばれた理由
今日は、鉛筆についている「トンボ」の話をさせていただきます。鉛筆の軸によく印刷されていますよね。誰もが見たことのあるお馴染みのデザインです。でもどうして「トンボ」なの、って思ったことありませんか?
今日は、そんな文房具の素朴な疑問にお答えしていきますね。
僕の「トンボ」との思い出
僕は子供の頃「トンボ」を捕まえるのが得意でした。この昆虫には習性があって、同じコースを辿って飛行して、同じ場所に止まります。そして前にしか進まないので動きが単調です。さらには、捕食行動のためでしょうか、空を飛ぶ動くものに近寄っていくのです。
水辺にいる「トンボ」を捕まえるために、この習性をよく考え手の届く捕獲しやすい場所で待ち構えました。動きをよく見て大型のタモ網を持ち、毎日何十匹も捕獲しました。それを夕方、家に帰るときに逃がしてやるのです。飛び立っていく虫たちは美しかったです
子供の頃の夏休みは暇で仕方なかったので、早朝から「昆虫捕獲」にあけくれる少年だったのです。捕まえてきては昆虫図鑑で名前を調べていました。いまでは昆虫を触ることも嫌ですけど、僕にもこんな時代があったなんて、本当に懐かしいです。
鉛筆のマークは何故「トンボ」なの?
これは、トンボ鉛筆の社章です。ロゴマークなのです。
日本の鉛筆は、三菱鉛筆とトンボ鉛筆でほとんどを製造しています。ざっくりとこの2社で9割くらいになると言われています。この2社のうちの1社、トンボ鉛筆の社章がこのマークなのです。だから、鉛筆の軸に「トンボ」が印字されているのです。わかりやすいですね。
僕の小学生の頃、文房具は母親の買ってきたものを使わなくてはならない暗黙のルールがあったため、自由になりませんでした。基本は、学校で年初に購入するトンボ鉛筆のスタンダード色を使っていました。この色はオリーブグリーンと呼ばれています。
戦時中に、写真修正用鉛筆として売り出したために、この軸色に落ち着きました。思い切り軍事カラーですよ。こんな歴史を持ちながらも、多少のマイナーチェンジを加えつつ生き残ったすごい鉛筆なのです。小学生の頃の僕は心の中で、他の鉛筆も使ってみたいなぁと思っていましたけどね。
このトンボを採用した由来
冒頭でも触れましたが、「トンボ」は前にしか進めません。この特性に注目されて、日本で昔から「勝ち虫(かちむし)」とされてきました。退却しない前進しかしない姿が縁起が良いとされて、戦国武将たちが甲冑デザインに採用したのは有名な話です。
元々「トンボ」は、古名が「あきず/あきつ=秋津/蜻蛉」でした。古くは日本のことを秋津島と呼んでいたと言い伝えられて、日本を代表する鉛筆ブランドになりたいという創立者たちの心意気をここに込めたんです。だから「トンボ」でなくちゃいけなかったんですね。
秋津島(あきつしま)という言葉は、古事記・日本書紀はもちろんのこと、日本に係る枕詞として和歌の世界に脈々と生き続けていますので、もし何かの機会にこの言葉に行きあたったら、「トンボ」のことを思い出してあげてくださいね。
よく見ると「Tombow」って表記変じゃない?
トンボ鉛筆の「トンボ」。この英語表記は「Tombow」となってます。これって合っているんでしょうか?僕の普通の感覚からすると「Tonbo」で良いんじゃないかと思います。そして絶対にwは要らないと思うんですが、ここのところどうなっているんでしょう。
これは、まずmを使う理由は発音しにくいからです。b、p、mなどの発音準備になるから、英語では慣例的にそうしています。nは英語本来の発音だと舌を上の歯茎につける動作をしなくてはならないので、忙しくなってしまうのです。
wを使った理由は、お墓(tomb)に読み間違えられないように工夫したのです。縁起が悪いですからね。せっかく日本名で縁起の良い言葉でも、英語表記にしたときにお墓に間違えられたらたまったものではないですから、配慮したそうです。
いかがでしたでしょうか?鉛筆に印刷されている「トンボ」のマークの由来がわかりましたでしょうか?なかなか面白い事実です。最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。読者の方々に感謝です。
お時間のあるときに、僕の文房具ブログも読みに来てくださいね。下にリンク貼っておきます。
猪口フミヒロの文房具ブログ『本と文房具とスグレモノ』