あからさまな女性蔑視発言・森喜朗氏は大会組織委会長を辞任すべき
明らかな女性蔑視発言です。
報道によれば
朝日新聞 より
というのです。
男女共同参画に逆行
上記報道によれば、JOCはスポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針「ガバナンスコード」に沿い、全理事のうち女性の割合を40%以上にすることを目標としているとされ、森氏はこれに率先して承認すべきところ、偏見に満ちた発言をしたのです。
日本でも、男女共同参画社会基本法、女性活躍推進法が制定され、あらゆる分野で男女共同参画が求められています。
日本政府は「202030」すなわち、社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標を掲げ、2020年までに達成できなかったけれども、できるだけ早急に達成することが求められているのです。
それに対し元首相で、大会組織委員会会長の森氏が消極的な意見を述べるとは、時代に明らかに逆行しています。報道によれば、JOCでは25人の理事のうち女性は5人、40%どころか30%も達成していません。
しかもその理由として森氏の口から出た「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」とはなにごとでしょうか。
あからさまな偏見
朝日新聞 より
まず「女性っていうのは」とは明らかに女性をひとくくりにして決めつけるのは、女性に対するあからさまな偏見です。
役員として会議に参加している以上、意見を言うのは当然です。真面目に職務を果たす責任感の強い人であれば、性別を問わず発言することは尊重されるべきであり、委員の職責上当然のことです。
ところがなぜ女性が発言すると「競争意識が強い」と受け取られるのでしょうか。
事実に反する極めて歪んだ見方であり、競技団体で活動する女性役員に対し失礼極まりないものです。
まるで、発言すること自体が迷惑、トラブルメーカーとでもいうような物言いです。
そのような視点で偏見をもって「発言する女性」を眺める森氏は、発言の内容などまともにきいていないのではないでしょうか。
朝日新聞 より
このような偏見に満ちた発言を、「だれが言ったとは言わないが」などと逃げ道を作りつつ公的な場で言うことは極めて問題であり、公人としてあるまじきものです。
「発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらない」と発言規制に言及していますが、女性の発言だけ時間規制をするというならまさに暴論であるし、女性が参加するなら理事全員の発言時間を規制するというのであれば、委員に対する脅しに近い不利益告知と言えます。
まるで、望月衣塑子記者を排除しようと質問制限を導入した菅首相の官房長官会見のようです。
さらに、
女性の理事の人数を正確に把握していないことは森氏が男女共同参画に問題意識を露ほども持っていないことの表れではないでしょうか。
「みんなわきまえておられて」「お話もシュッとして、的を射た」「非常に役立っております」というのも女性理事全員を馬鹿にした話です。
すなわち、組織委員会の女性理事は口数が少なく、発言時間も短いので、議事進行に役立っているというのでしょうか。
そもそも、女性をひとくくりにしてその個性や一人一人の意見や知見を尊重せずに「女性」として評価すること自体に問題があり、差別的です。
そして、女性理事に対する評価として、発言時間が短いことが評価されるとすれば、それはいったいどういうことでしょうか。
仮に男性が十把一からげにそのように扱われたらどう思うでしょうか。
女性の役員には、おとなしく波風を立てない存在を求めているとしか、お飾りのような存在が議事進行に役立つという趣旨にしか受け取れません。
これは女性全体を馬鹿にするものです。
男女共同参画の意義は、政策決定過程に人口の半数を占める女性の声を適正に反映させることであり、単に委員のポストを与えて椅子に座っておとなしくしてもらっていればいいというものではありません。
女性が対等かつ平等に発言機会を与えられ、その発言の内容が相当な重みをもって意思決定に反映されることが必要なのです。
女性の意見表明は奨励されるべきであって、抑制するようなメッセージを冗談めかしてでも口走ることは、組織の長にあるまじきものです。
高齢だから許されるのか?
このように批判されると、きっと、森氏の本意は違うとか、言葉が足りなかったなどという言い訳がされ、高齢なのに頑張っているのに責めてはかわいそうなどという同情論が出されるでしょう。
しかし、高齢だから仕方がないと言ってみんながこのような問題発言をかばって済ませ、女性差別主義者が日本のトップであり続けるから、日本のジェンダーギャップ指数が121位というところにいるのです。
明らかに国際感覚からずれた人を会長の座につけたまま、言いたい放題の差別と偏見を垂れ流して、将来ある女性の活躍を妨げ、女性の夢を奪っていることの方が罪深いのです。
差別発言をしても許される、責任を取れない国であり続けることは、若い人や女性を日々絶望させ、この国から活力を奪い、未来への成長を阻害しています。
森氏は辞任すべき
森氏の発言は朝日新聞だけでなく、各紙が一様に報道しています。
すでに海外でも報道され、世界に恥をさらしています。
オリンピック憲章は、
と定め、女性差別や女性蔑視を容認していません。
コロナで開催される可能性は低いものの、東京オリパラのホスト国である日本の組織委員会会長がこのような差別的な見解であることを露呈したのが事実である以上は、辞任せずに続けるということが国際的に見て許されるでしょうか?
このようなことが許されず、正しい対応がなされなければ、日本は自浄能力のない差別主義の国とみなされるでしょう。
スポーツ界に、そして官民問わず日本各地に、様々な公私の団体で役員になって奮闘している女性たちがたくさんいます。
口には出さないとしても同じような旧態依然とした女性蔑視の視線にさらされながら日々戦っている女性たちがいます。このような発言がどれだけ悔しいことでしょうか。これが当たり前のように流されたらどうなるのでしょうか?
このような発言がおとがめなしで終わるようなことがあってはならないと考えます。(了)