京都国際高 甲子園1勝 韓国メディアの報道「聖地に校歌響く」…”あの問題”も
24日の「センバツ」で初出場初勝利を挙げた京都国際高。
1947年設立の同校は、韓国系学校として設立された点はよく知られるところだ。現在も公式サイトに「韓国語・英語・日本語のトリリンガル教育を目標に掲げ、語学教育をおこなっています」とある。
柴田(宮城)を相手に延長線の末5-4で挙げた勝利を韓国メディアはどう報じたのか。
勝利の直後から国内最大のポータルサイト「NAVER」に20本以上の記事がアップされるなど、外国のアマチュア野球としてはたいへん大きな注目を集めている。
もっとも多いのは、ストレートニュースとして勝利を伝えるものだ。
「京都国際高、日本の甲子園初勝利 延長の接戦の末5-4逆転勝利」(国内最大の通信社「聯合ニュース」)
「韓国系京都国際高、日本の甲子園大会1回戦で5-4の勝利」(YTN)
上の「聯合ニュース」の記事にはこんなコメントが韓国語で寄せられた。
「柴田高校と京都国際高校、2チームともにお疲れさまでした。柴田高校も最後までベストを尽くした姿、とても良かったです!! そして京都国際高の勝利!! 延長10回まで行く勝負で5-4の勝利、本当にしびれる逆転勝ち! 京都国際高、本当にカッコよくて素晴らしい、2回戦進出!! 本当にドラマみたいな試合でした!! 『東の海を渡りし 大和の地は』京都国際高ファイティン! ずっと応援します!!」
歌詞の”あの部分”はやはり話題に…
いっぽうで、やはり話題となったのは…「校歌」の話だ。記事の趣旨としては2パターンある。
「日本全域に響いた韓国語校歌…京都国際校、甲子園初勝利」(中央日報)
「京都国際高、甲子園で”感激の初勝利”…”東海 校歌”も生中継」(KBS)
韓国でも日本の「甲子園」のステイタスは伝わっている(現にすべての記事で甲子園の韓国語読み「カプチャウォン」ではなく、コーシエンという音がそのままハングルで記されている)。そこに韓国語の校歌が響いたという点を”快挙”として捉える点だ。
いっぽう、この点が話題となるのは避けられなかった。
「NHK, 京都国際高の校歌の歌詞『東海(トンヘ)』を『東側の海』と翻訳」(聯合ニュース)
「韓国系高校の校歌『東海(トンヘ)』を『東側の海』と翻訳したNHK」(ソウル新聞)
オール韓国語の同校校歌の冒頭分に「東海(トンヘ)」という言葉が出てくる。日本でいう「日本海」。「日本はこれを改めるべき」と韓国側が呼称問題を提起しているのだ。それゆえ日本で校歌が放映される場合も、「東海(トンヘ)」はそのまま「トンヘ」と伝えるべきだという主張だ。
上記記事に対してもコメント覧に韓国読者からの意見が寄せられた。ここでは訳せないような過激な「民族主義的」反発もあったが…
こういった意見もあった。
「東海、西海、南海。固有名詞ではない(韓国の)自己中心的名称自体が問題」
「甲子園の『甲子』という名前もそもそも中国の考え方から来てるんじゃないの?」
※古来中国の「十干」と「十二支」の漢字を組み合わせると60通りになり、このうち縁起のいい「甲子」の年に完成したゆえ「甲子園」という説。
文化は入り交じるものだし、柔軟にも捉えうるもの。そういった意見だ。これぞ京都国際高の戦う姿と重なるものではないか。
韓国での注目度の高さをも感じさせる、24日の同校甲子園初勝利だった。