イタリア記録的少雨で、山火事・水不足・農作物被害
東京でも空梅雨による水不足が懸念されていますが、遠く離れたイタリアでは、さらに深刻な事態となっています。
続く熱波と雨不足の影響で、農作物に甚大な被害が発生している他、千件以上の山火事も発生、ローマではついに大規模な給水制限も検討されています。
イタリアの天気事情
少雨
スカイイタリアの天気番組によると、今年6月のローマの月降水量は例年よりも74%も少なく、また7月は72%減だったとのことです。さらに3月から5月にかけては56%減と、過去60年間で3番目に雨の少ない春となりました。
高温
雨不足に加え、今季は異例の暑さが続いています。下記のグラフはここ一か月間のローマの最高気温を表したものですが、連日平均気温を上回る暑さで、時に35度を超えるような猛暑となった日もありました。
当局は大規模な給水制限を検討しており、もし実行されると、一日に8時間水が使用できなくなり、150万人のローマ市民の生活や観光客に大きな影響を与えることは必至です。
いま起きていること
この水不足の影響は、下記のような形で顕著に現れています。
水飲み場、止まる
ローマ市内には「ナゾーニ(鼻の意)」という、公共の水飲み場が2,800あり、昔から市民の生活や喉を潤してきました。この水飲み場は水が流れ放しの状態で、過去140年間一度たりとも止まったことはなかったのですが、今月初旬、初めて水の供給がストップされました。
加えて(ローマの中に位置する)バチカン市国の100ある噴水もすべて停止されています。これはローマとの結束を象徴するため、法王が下した措置ということですが、これもいまだかつてなかったことです。
山火事
イタリア国内では1,000件以上もの山火事が発生しています。ローマ近郊のベスビオス山で発生した火災は、まるで火山の噴火のような様相(↓)だったため、観光客らが逃げ惑う様子も見られました。
農作物被害
国内の3分の2の農家が打撃を受けており、その被害額は20億ユーロにも上るとも言われています。特にワイン、オリーブ、トマト、酪農農家の被害が著しく、オリーブにいたっては生産が60%減とも予想されています。
南ヨーロッパでも同様
熱波と少雨の影響は、南ヨーロッパ全体で発生していて、現在、世界的に名高い観光地であるフランス南部のコートダジュールやコルシカ島などでも山火事が起きています。
また今月中旬、ギリシャのアテネでは、40度近くまで気温が上がったために、アクロポリスなどの古代遺跡の入場が制限され、観光客に大きな影響を与えました。
ヨーロッパでは、今年のような熱波が、今後さらに頻繁に発生すると危惧されています。