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【J1第28節】残すは、わずかに「6試合」。J1リーグはクライマックス一歩手前

川端暁彦サッカーライター/編集者
試合後の埼玉スタジアム2002、熱狂がウソのような静けさだ

浦和、さいたまダービーを制す

10月5日、J1第28節の8試合(1試合のみ6日開催)が実施された。全34節なので、J1リーグも残すは6試合。クライマックス目前という段階である。

そんな状況で、足を運んだのは、埼玉スタジアムでの“さいたまダービー”。浦和レッズと大宮アルディージャの一戦である。3位と好位置をキープしてはいるものの、最近は足踏み状態の「赤い悪魔」と、ここ12戦で11敗と、驚くほどのハイペースで黒星を積み上げ、9位まで順位を落とした「オレンジ軍団」。両者の意地が見える試合になるかと思われたが、大宮が試合開始早々に退場者を出したこともあり、ほぼ一方的な展開に。阿部勇樹のPKで先制した浦和が、後半に入って「体力がなくなってしまった」(大宮MFチョ・ヨンチョル)大宮を圧倒。終わってみれば、4-0の大差となった。

大宮はここ13試合で12敗という惨憺たる状況で、二ケタ順位に後退。浦和は順位こそ変動がなかったものの、貴重な得失点差を積み上げることに成功。浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、大宮とのダービーになかなか勝てずに苦しんできたことから、「ノドにささっていたモノが取れたようだ」と晴れ晴れとした様子だった。

第28節(10月5日)結果

磐田 1−1 仙台

新潟 3−1 鳥栖

湘南 1−1 名古屋

大分 0−2 C大阪

浦和 4−0 大宮

広島 3−1 清水

F東京 1-4 鹿島

甲府 0-0 横浜FM

Jリーグはクラブ数も多く、順位表で観ていっても視覚的に分かりにくいので、ここは「勝点分布表」で観ていきたい。

J1リーグ勝点表(暫定)

勝点:チーム名

53:広島、横浜FM

52:

51:浦和

50:鹿島

49:

48:

47:C大阪

46:

45:

44:FC東京

43:

42:川崎F

41:仙台

40:新潟

39:大宮

38:柏、清水

37:名古屋

36:

35:

34:

33:鳥栖

32:

31:

30:甲府

29:

28:

27:

26:

25:湘南(これ以下がJ2降格)

24:

23:

22:

21:

20:磐田

(中略)

10:大分

柏と川崎Fの試合を明日に残している関係で暫定の順位表になるが、共に中位のクラブなので、優勝争いと残留争いについて分けて語ることは現時点でも可能だろう。なんとなく表を見ていると、現時点でのJ1リーグの力関係が見えると思う。

今節は最下位・大分の降格が早くも決まった。開幕からわずかに1勝。「7引き分け」という数字が示すように、惨敗続きだったわけではない。特に序盤の内容は悪くなかったが、悪くない中で勝ち星を拾えず、負のサイクルに陥ってしまい、悪い意味での「独走」となってしまった。もう一度J2で体力を付け直しての再起を期待したいし、そのためにも残り試合をうまく使ってほしいところだ。

その大分のすぐ上に位置する17位・磐田は今節ドローで勝ち点「1」を積み上げた。だが、大きく開いてしまった15位・甲府との差を思えば、「1」では足りない。残り6試合で甲府との「10」の差を詰めるのは容易ではない。磐田が3連勝して、なおかつ甲府が3連敗したとしても、覆せない差である。17位のクラブとは思えぬような、常識外れの爆発的連勝が求められる。甲府と「5」差の16位・湘南は、連勝と連敗でひっくり返る“普通の射程内”だが、安定して勝ち点を積み上げ始めた近頃の甲府を思うと、こちらも容易な道のりではなさそうだ。

優勝争いでは王者・広島が横浜FMを抜いて首位を奪還したが、勝ち点は同じ。得失点差もほぼないので、どちらも首位のようなものだ。またすぐ下の順位につけている3位・浦和が今節、得失点差を荒稼ぎ。4位・鹿島もひたひたと距離を詰めており、大逆転優勝を視野に入れている。日本代表FW柿谷曜一朗を擁する5位・C大阪も今節きっちり勝ち点を積み上げており、こちらもまだ分からない。

J1リーグは残り6節。降格クラブが一つ決まったが、まだまだ上も下も混戦模様。戦力均衡という名の大渦から抜け出すのは、果たしてどこのクラブだろうか。

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

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