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難民の立場から歌った曲が、ノルウェーで好評

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
(写真:アフロ)

ノルウェーの音楽家ラーシュ・ブレムネス氏が、自身のフェイスブックに投稿した新曲『エリアスが歌った』が予想以上の高評価を得ている(曲名は『エリアスの歌』と解釈も可能)。「難民であるということは、どういうことかずっと考えてきた」と、エリアスという男性の難民の立場から歌った曲。

18日の19時にフェイスブックで投稿された後、動画サービス「Vimeo」では2400回以上シェアされ、視聴回数は18万回を超える。人口520万人の小さな国で、長期休暇のイースター(復活祭)期間中にもかかわらず、この数字は大きい。20日には、ノルウェー国営放送局でも紹介されたため、数字はさらに伸びると予想される。コメント欄には「ありがとう」というノルウェー人からの投稿が殺到。

ブレムネス氏は、国営放送局に対し、「エリアスという名前なら、国籍、文化、宗教に関わらず、ノルウェー人、シリア人、ユダヤ人にも置き換えることができる」と話す。同氏は現在、アラビア語、フランス語、英語でカバーしたい人を募集中。

歌詞は、一人の人間としてではなく、避難国で「難民」というカテゴリーでしか扱われない孤独さを描写したもの。静かな語り口調とギターの音で、歌は始まる。

Elias sang 歌詞一部(筆者が日本語に翻訳)

難民でいることに、疲れてきた

問題であることに、疲れてきた

私の国に爆弾を落としたのは私ではない

私は普通の人間だ

人は私の肌の色だけをみる

人は宗教だけをみる

私は人間としていられた時がなつかしい

私は難民であることに、疲れてきた

返答を待ち、書類が足りないと言われることに、疲れてきた

それは私が持つすべての書類なのに

いつか平和がきたとき

私は帰ろう

私の愛するものたちにまた出会う

その時、私はエリアスという男になれる

エリアス

かつて私がそう呼ばれていた人間に

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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