玉木代表の日銀の金融政策への注文は、金融市場に妙なストレスを与えるだけでは
国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、日銀の金融政策を巡り「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」と述べ、早期利上げに否定的な見解を示した。都内でロイターのインタビューに応じた(1日付ロイター)。
玉木代表はインタビューで「いつかは(金融政策を)正常化していくことは必要」と、正常化路線そのものには理解を示したが、それではどうして向こう半年は利上げをしてはいけないのか。
利上げといっても、現在の政策金利の0.25%を0.50%に引き上げる程度のことであり、消費者物価指数の前年比に比べてもまだまだかなり低い状態にある。
これはあくまで金融政策を正常化する一環であり、普通の金利に戻すことで、経済活動や物価状況に即した金利形成を促すことにすぎない。
林芳正官房長官は1日の閣議後会見で、日銀の植田和男総裁が追加利上げに含みを持たせた発言をしたことに関し「金融政策の具体的な手法は、今後の利上げを含め日銀に委ねられるべき」と述べ、政府としてコメントを控えた(1日付ロイター)。
これが適切な発言だと思う。
植田総裁の就任時に、金融政策の方向を変えるなとプレッシャーを掛けた議員がいた。当時の岸田政権に大きな影響力を持っていた派閥の幹部による発言であった。
その結果、物価高にもかかわらず、金融政策の方向転換すら出来ない状態となってしまう。それによって急激な円安が進行した。世界的な物価高によって欧米の長期金利が上昇していたにもかかわらず、日本の長期金利も抑え込まざるを得なくなり、そこをヘッジファンドなどのよって付け込まれ、日銀は10年債の同一銘柄を発行額以上買いあげるという事態も発生した。
今後の石破政権の運営に影響を与えうる立場となりつつある国民民主党の玉木雄一郎代表の日銀の金融政策への注文は、金融市場に妙なストレスを与えるだけではなかろうか。