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日銀の政策委員会と金融政策決定会合

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 いまさらながら、日銀の政策委員会と金融政策決定会合について確認してみたい。

 日銀には最高意思決定機関として政策委員会が置かれている。日銀の金融政策を決めるのが金融政策決定会合である。9名の政策委員が多数決によって金融政策を決定する仕組みとなっている。

 政策委員会は金融政策決定会合において通貨および金融の調節に関する方針を決定するほか、その他の業務の執行の基本方針を定め、役員の職務の執行を監督する権限なども有している。

 日銀の金融政策を決める金融政策決定会合は、2015年までは年14回開催されていたが、2016年からは年8回となった。

 金融政策決定会合は主に2日の日程で開催され、1日目は午後に開会し金融や経済情勢に関して、日銀の執行部が報告を行う。2日目は午前中に会合を再開して、委員の討議、そして議案に関する採決が行われる。

 政策委員会のメンバーは総裁1人、副総裁2人、そして審議委員6人で構成されている。この9人を総称して政策委員と呼ぶ。

 金融政策を決定する際の議決は、9名の政策委員による多数決によって行う。日銀総裁といえども、ここでは9票のうちの1票にすぎない。

 金融政策決定会合には財務大臣および経済財政政策担当大臣、もくしはその代わりとなる政府代表がオブザーバーとして出席する。実際には大臣が直接参加することはまれとなっている。

 決定会合に参加する政府出席者に議決権はない。ただし、議決の延期を求める議決延期請求権を持っている。

 金融政策決定会合における決定事項については、会合終了後直ちに内容を公表することになっている。

 2001年に金融政策決定会合の運営方法の見直しが行われ、会合における審議時間が十分に確保されるとともに、決定内容について金融市場の取引が活発に行われている時間帯に公表されるようになった。

 2日間の会合の際の決定内容は、2日目の昼頃に発表されることが多い。ただし、FOMCのように終了時間が決められているわけではない。

 ちなみにFOMCの結果発表は日本時間の午前3時(冬時間の場合午前4時)となっている。

 決定内容は日銀のサイトにアップされる公表文に記されており、通信社の端末などを通じても内容が即時に伝えられる。

 政策変更がない場合も「現状維持」としてその旨が公表される。全員一致の決定であったのか、賛成多数であったのか、多数決の場合には賛成者と反対者の数、さらに反対者の委員の名前も発表される。

 金融政策決定会合終了後、15時半あたりから日銀総裁の記者会見が行われる。金融市場関係者は金融政策そのものの結果とともに、この日銀総裁の会見内容にも注目しています。

 FRB議長の会見が終わるのは午前4時半(冬時間の場合午前5時半)と決められているが、日銀総裁会見も16時半あたりで終了する。

 2016年からは決定会合終了後1週間を目途に決定会合における「主な意見」を作成し、公表している。

 金融政策決定会合の議事要旨は、次回または次々回の会合の3営業日後(概ね1か月程度後)に公表される。

 議事録については10年後に公開される。

 議事要旨には大まかな審議の内容が書かれているが、発言した政策委員の具体的な名前までは明らかにはされない。現実にどのような意見が交わされていたのか、誰が発言していたのかを具体的に知るためには、10年後に発表される議事録を待つ必要がある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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