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上々のデビューを飾ったレイズ・筒香とレッズ・秋山を待ち受ける例年以上に熾烈な戦い

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLBデビュー戦で本塁打を放ったレイズの筒香嘉智選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【筒香選手はMLB初本塁打、秋山選手も代打適時打デビュー】

 MLBの2020年シーズンが現地時間7月24日に、本格的にスタートした。

 今シーズンは2013年の田中賢介選手以来、7年ぶりに2人の日本人野手がMLBに挑戦し注目を集めていた。

 レイズの筒香嘉智選手は「3番・三塁」で先発デビューを飾り、5回の第2打席にMLB第1号となる2点本塁打を放つ活躍をみせた。

 またレッズの秋山翔吾選手は先発から外れたものの、6回に代打で登場するとMLB初打席で中前適時打を放ち、こちらも上々のデビューを飾っている。

 とはいえ、これから2人を待ち受けるのは例年以上に厳しい戦いだ。

【すべてが特例の中でスタートした2020年シーズン】

 今シーズンは新型コロナウイルスも影響で、あらゆる面で特例措置が施されているのはご存知の通りだ。中でも試合数に関しては、例年(162試合)の37%にあたる60試合に留まっている。

 すでにメディアでも指摘されているように、今シーズンのペナントレースは、マラソンというよりも、むしろ短距離スプリントのようなものだ。チーム力以上に、開幕からチームに勢いをつけられるかがより重要になってくる。

 しかも今シーズンは、当面30人の出場ロースターが採用されていることもあり、チームとしても好不調を見極めながら選手を交換できる体制が整っているのだ。

 それはつまり、如何に主力選手といえども、不振が続く状態なら我慢して起用し続ける時間的余裕はなく、調子の良い選手を積極的に起用していく戦術が求められる。まさに短期決戦のポストシーズンに類似した戦い方だ。

 筒香選手、秋山選手に関しても、例年ならMLB1年目の適応期間として成績以上に経験を重視したかたちで出場機会を与えられるところだが、今シーズンに関してはそうした余裕はない。彼らも同様に、開幕から結果を残していくしかないのだ。

 対戦する投手たちはほぼ初顔合わせばかりが続く状態で、結果を出し続けるのは決して簡単なことではない。

【ポストシーズン進出チーム拡大も圧力に】

 さらに開幕直前になって、MLBと選手会がポストシーズンの進出チームを10チームから16チームに拡大することで合意したことも、チームの戦術に大きく影響を与えることになったといっていい。

 全30チームの過半数がポストシーズンに進めることになったことで、各チームはさらに“捨て試合”をつくれなくなった。60試合という短期決戦では、最後までゲーム差が大きく広がることもない。例年以上に1勝の重みが増してくることになる。

 筒香選手が所属するレイズ、秋山選手が所属するレッズともに、メディアやファンの間でポストシーズン進出が期待されているチームだ。特にレッズは、昨シーズン6年ぶりのポストシーズン進出を果たしたレイズと違い、2013年以来のポストシーズン進出を目指しており、是が非でも開幕ダッシュを狙っている。より目先の勝利にこだわった選手起用をしてくるだろう。

 いずれにせよ、今シーズンの筒香選手と秋山選手は、例年以上にプレッシャーのかかる状況の中で約2ヶ月間を戦い続けていくことになる。シーズンが終了した段階で、彼らはどんな評価を受けることになるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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