【宮城県 松島町】一人静かに観察できる可憐な紅白の梅の花 [おすすめ見学場所]
東北地方で暮らしていると、暖かいなぁと体感できる時期というと大体4月に入ってから。
その頃になると、ほんのりピンク色の桜の花が開花し、日本中が「さあ、お花見だ!」と一段と盛り上がる。スーパーマーケットに行けば、ビールなどのアルコール類のパッケージも、桜の花々が舞い上がるような、賑やかな衣装へと衣替え。なので、筆者は毎年ビールコーナーの前に立っているだけで、花見をしている気分になるのだ。(秋には紅葉だ)
桜があまりに抜きん出て、ハリウッドスターのようにフラッシュを浴びているので、他の花たちがやや目立たぬように感じてしまう。特に、寒さがまだ残る頃に咲く「梅」は、少しばかり桜に引け目を感じてしまうのではないか、とぼんやりと思う。
桜よりも少し先に開花することもあって、周囲から「ああ、早く桜咲かないかなぁ」なんて声が聞こえたりすると、梅としてはややプレッシャーだ(あくまでも想像)。
メイン出演者の前座役なんて言わせない、可憐な梅の花を是非じっくりと楽しんでほしいものだ。そこで、松島町内で静かにじっくりと、梅の花を観察することが出来るおすすめの場所をご紹介していこう。
場所は、バラ寺と呼ばれている円通院(えんつういん)へと向かう途中の小さな敷地。
比翼塚(ひよくづか)と、三聖堂(さんせいどう)という二つの史跡が残る場所だ。そこには、紅白の美しい梅が生育している。梅の名は「軒端の梅(のきば の うめ)」といい、大昔に小太郎という方がこの地に梅を植えたと言われ、ご本人の塚も梅と同じ敷地内に存在する。
パッと見る限りでは、まだまだ枝ばかりが目立っているが、しかし立ち止まり見つめてみれば「おお!」つぼみが大きく膨らんでいるのを確認。
2月中旬現在では、梅のつぼみは見事に丸みを帯びて、ちらほらと手のひらを広げるように外へ向かって花びらを広げ始めていた。小さな敷地といえども、大昔に小太郎さんが手掛けてくれた梅の木は結構多く、白だけでなく紅もあるというのが素敵なポイント。
満開を迎えた日には敷地内に美しい紅白の花々が咲き乱れ、周囲も静かな場所なのでゆっくりと、じっくりと梅の花の観察ができる。植物園とも違う、単にお花見とも違い、梅という作品を眺める自然の美術館のような上品さが漂う場所だ。
梅の開花期間は、やや短いため見逃さないようにしたいところ。賑やかな梅の観光名所も良いけれど、小規模でも良いからできるだけ静かにゆっくりと、紅白の梅を楽しみたい方には、ここはおすすめだぞ。
名称:軒端の梅(のきば の うめ)
住所:宮城県宮城郡松島町松島町内36