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反日の「本性」を現した韓国保守野党 「原発処理水放出」で日本糾弾決議案を作成!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
朱豪英院内総務が出席した「国民の力」の非常対策会議(「国民の力」のHPから)

 今月上旬に行われた首都・ソウルと第2の都市・釜山の2大市長選挙を制した韓国の最大保守野党「国民の力」は外交でもその存在感を誇示するため日本政府の福島原発処理水海洋放出決定を強く糾弾する決議案を発議する。

(参考資料:「原発処理水」海洋放出問題で文在寅政権を突き上げる韓国の保守野党)

 文案はまだ明らかにされていないが、昨日開かれた同党の非公式協議では「日本が科学的根拠を示し、IAEAの基準に従うならば、反対しない」とする文在寅政権に対して放出を阻止するよう強く促す声が多数を占めたとのことである。

 「国民の力」ではすでに国会外交・統一委員会で趙太庸議員が「日本が汚染水放出を検討していたことは2018年に公論化され、メディアでも懸念が表明されていた。それにもかかわらず、なぜ文在寅政権はこれまで消極的、曖昧な対応をしてきたのか」と政府批判を展開し、金善教議員もまた「政府は国務調整室主幹で2018年10月に福島原発TF(タスクフォース)を発足させていた。ここで作成された対外秘現況資料には専門家の意見として『三重水素被爆の可能性は低い』とか『三重水素は海流に従い希釈され影響がないことが予想される』と書かれてある。日本政府以上に日本を持ち上げているではないか。(文在寅政は)一体、韓国政府なのか、日本政府なのか!」と文政権の対応を舌鋒鋭く批判していた。

 農林畜産食品海洋委員会と環境労働委員会でも同党の議員らは「文政権がやったことと言えば、汚染水放流決定後に次官会議を招集し、駐韓日本大使に申し入れたのがすべて」と酷評し、「政府は汚染水放流が我が国の海洋生態系の破壊は言うに及ばず、国民の健康と安全のみならず水産業界にも大きな被害をもたらすことを看過すべきではない」と政府を突き上げていた。

(参考資料:「原発処理水放出」容認発言で与野党議員から吊るしあげられた韓国の外相)

 農林畜産食品海洋委員会と環境労働委員会で同党は政府に対して「すべての力量を動員して日本の汚染水放流に対して緊密な対応策を迅速にまとめるよう強く促す」声明書を出していることもあって日本に強く対処しない文政権の生ぬるい対応を批判する内容が決議案に盛り込まれるのは確実である。

 早ければ、今日中にも決議案を取りまとめ、一両日中に提出する予定である。与党はすでに19日に決議案を作成していることから「国民の力」は与党と協議し、決議案を一本化し、共同決議案として提出することも検討している。

 「国民の力」は来年3月の大統領選挙で政権奪還を実現するためにも中道層だけでなく、与党の支持基盤である進歩派を切り崩す必要性もあって、「親日」のイメージを一新する機会を狙っていたが、この福島原発汚染処理水の海洋放出は同党にとってはチャンス到来のようだ。

 実際に、ソウル市長選挙では「国民の力」の呉世勲候補が圧勝し、ソウル市長に返り咲いたが、ソウル市長選立候補にあたり日本の植民地統治に反対する独立運動の象徴の場である西大門独立公園を独立運動記念日(3月1日)の前日の2月28日に訪れ、イメージチェンジを図ったことも圧勝の一因となっている。

 呉市長は選挙公報ホームページに独立公園を訪れ、「日帝占領時期の親日行脚が指弾される理由は『親しいから』という単純な理由ではない。同胞の生を疲弊させ、ひいては共同体の犠牲を代価に個人の栄達を追求したことにある。日本軍慰安婦、強制徴用、独立闘士拷問などがそうした被害の頂点にある。独立して75年になるが、我々には未だに涙ぐましい言葉となっており、未だに解決されていない」と述べたと、綴っていた。

 日本では文在寅政権を「反日政権」と捉え、批判しているが、保守野党も本質的には政権与党と変わりはない。

 事実、日本が2005年に2月22日を「竹島の日」に定めたことに対抗し、韓国が2年後の2010年に10月25日を「独島の日」に定め、歴代大統領誰一人、足を踏み入れたことのなかった竹島上陸を決行したのは保守の李明博大統領である。

 慰安婦像が駐韓日本大使館前に設置され、また元徴用工8人が三菱重工業と新日本製鉄を相手に起こした損害賠償請求訴訟の上告審で、韓国の大法院(最高裁)が日本企業の徴用者に対する賠償責任を認める判決を出したのも李明博政権下のことである。

 さらに、慰安婦像がカリフォルニア州グレンデール市など米国の地方都市で相次ぎ建立されたのも、福島など8県産の水産物の輸入を禁止したほか、2015年に明治産業革命遺産の世界文化遺産登録に反対したのはこれまた保守の朴槿恵政権下である。

 保守野党の「反日」を示す事例は枚挙にいとまがない。進歩政権から保守政権に政権が変わっても「反日」はそう簡単に変わりそうにもない。

(参考資料:日本の「原発処理水放出」への対応に苦慮する文大統領 2008年の「米国産牛肉輸入反対デモ」がトラウマ)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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