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NY原油27日:イラクの輸出拡大方針を受けて、続落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.52ドル安

始値 60.05ドル

高値 60.25ドル

安値 57.71ドル

終値 58.03ドル

イラクの原油輸出拡大に対する警戒感から、続落した。

イラクは、6月の輸出量を前月比+26%の日量375万バレルに設定した。既にサウジアラビアが大規模な増産政策に舵を切っているが、イラクもこの動きに追随する可能性が高くなっている。米国のシェールオイル生産には一定の歯止めが掛かっているが、このタイミングに石油輸出国機構(OPEC)は輸出拡大の方向に舵を切っており、国際需給の緩和状態を是正する動きは先送りされることになる。来週6月5日にはOPEC総会も控えているが、特に強調減産に向けた動きなども確認できず、需給要因から買いを入れることは困難な地合に。

明日発表の米原油在庫は前週比で200万バレルの減少が予想されており、季節要因に基づく在庫取り崩しの動きがみられれば、瞬間的に買いが膨らむリスクは残る。ただ、引き続きタイトオイルに生産調整を迫る必要性が強く認識される中、原油高を容認することは難しい。加えて、為替市場ではドル高が再びトレンドとして確立しつつあり、通貨環境の視点でも原油相場を大きく買い進むことは困難な地合にある。

需給、通貨のどちらの視点でも原油高を正当化することが難しくなる中、下値不安の大きい相場環境と評価している。このままドル高トレンドを確立できれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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