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41歳。稼げるし、友だちもいるので、独身のままでも生きていけます~40歳からの婚活入門(36)~

大宮冬洋フリーライター
普段は個性的な服装をしているという高橋さん。今日は抑え気味です(筆者撮影)

 40代、独身。孤独を感じることもあるが、周囲を見渡してみると自分と同世代の独身者もいるし、子育てを終えて次の生活を模索し始めた人もいる。肩を寄せ合えるパートナーを探すことが広義の婚活だとしたら、何歳からだって遅くはない。本シリーズでは、現代に生きる独身の40代の実生活と心情を聞き取り、筆者の考えを添える。同じ40代として、残りの人生を充実したものにするために。

***高橋志保さん(仮名、41歳)の話***

女子っぽくしなければならない合コンは嫌。1対1で勝負できるマッチングアプリを利用

 もともと結婚願望は強くありません。でも、入院するときにも身元保証人が必要ですよね。結婚という標準システムから逸れると日本社会では暮らしにくいと感じたのが30歳ごろでした。

 個性が強い私には合コンは合いません。ハーフでも帰国子女でもないのに外国人のような性格だと周囲からは言われています。より女子っぽくしなければならない合コンではなく、1対1で話せるマッチングアプリを利用しました。

 何十人から連絡が来て、会ってみて波長が合うと感じたのが個人輸入の仕事をしていた1歳年上のヨウヘイさん(仮名)です。私も専門職としてフリーランスに近い働き方をしているので、サラリーマンよりも自営業者のほうが話が合いやすいのだと思います。

 35歳から数年間は同棲をしていました。でも、危険度の高い商品を扱っていたヨウヘイさんは事業を閉じることになり、生計を立てられなくなったのです。私は1千万円以上稼いでいたのですが、彼を養うつもりはありません。そのうちに彼は精神を患うようになってしまいました。路上に放り出すわけにはいかないので生活保護の手続きを受けさせたうえで別れました。

 別れても情はあるので、その後も友だちとして付き合いを続けていました。でも、8月に夏バテのためにフラフラしていて財布をすられてしまった私に、「だらしない」なんて言葉をぶつけて来たんです。「あなたに言われたくない」と言って連絡を絶ちました。

30歳の頃に「結婚というシステムから逸れると日本では暮らしにくい」と感じた高橋さんですが、最近は考えが変わって来ています(筆者撮影)
30歳の頃に「結婚というシステムから逸れると日本では暮らしにくい」と感じた高橋さんですが、最近は考えが変わって来ています(筆者撮影)

酔って「結婚する?」と言う彼。私はいつでもOKですが、あてにはしていません

 ヨウヘイさんとはすでに男女関係は終わっていたので、2年前から婚活を再開しています。使っているのは今度もマッチングアプリ。2つのアプリを使って、有料のほうで出会った49歳の男性と昨年の冬から付き合っています。IT関連の自営業者のタクヤさん(仮名)です。ちょっと珍しい食べ物でも楽しめるのが似ているし、考え方の違いをお互いに面白がることができています。

 タクヤさんはある競技のコーチをしています。土日はほとんど練習です。私は私で昔からダンスを習っていて友だちもたくさんいます。だから、会えるのは月に1、2回程度。一緒に住みたい気持ちもありますが、今の距離感がお互いにいいのかもしれません。

 一緒にお酒を飲んでいるときに、彼のほうから「結婚する?」みたいなことを言ってくることはあります。私はいつでもOKするつもりですが、シラフのときにはそういう話にならないのであてにはしていません。

 子どももできたらできたでいいのですが、今から産むとなると私は42歳か43歳になっています。結婚も含めて、こだわらなくてもいいのかなと思っています。

 私は自分で稼げるし、友だちもいるので、独身のままでも生きていけます。今は元気で仲良く海外旅行を楽しんでいる両親は、介護が必要になったら良い施設を探して入ってもらう予定です。女性が外で働くようになると未婚率が上がるのは、私のような人が増えるからだと実感しています。

***筆者より高橋さんへ***

「生活を安定させて子育てをする」だけでは結婚を正当化できない時代に

 真剣に結婚したいと考えている人には、マッチングアプリはお勧めしていません。独身証明書などの提出を義務付けているアプリが増えているために、以前のように遊び目的の既婚者が混じる危険性は減りました。しかし、膨大な数の登録者とネット上だけで連絡を取り合って「お見合い」をして、誰のサポートもなしに交際から結婚に至るのは大変です。幸運と筆まめさ、危険回避能力、そして決断力を要します。

 個性が強いと自覚している高橋さんは、例外的にアプリ向きの人だと感じました。好みのタイプがはっきりしていて行動力もあり、男性にステータスや安定収入を求めてもいません。仕事でもプライベートでも、他人のせいにしたり自分のせいにされたりすることが嫌いな人なのだと感じます。アプリを適切に使いこなせるのでしょう。結婚はしてもしなくてもいいと考えているので問題はありません。

 いま、結婚の意義がどんどんあいまいになっています。寿命が延び、男性の経済力が落ちた一方で女性が力を持ち、晩婚化や少子化が進みました。「生活を安定させて子育てをする」という従来の意義だけでは結婚を正当化できません。自分のことは自分で始末できるし、友だちもいるから寂しくない、よっぽど好きな人とでなければ家族になる意味がないと思うのは当然です。

 今後の社会は、家族というある種の幻想にどれだけ賭け金を置けるか、という話になって来ると思います。自分一人でも生きられるけれど、他人とあえて人生を分かち合うことを楽しめるか。損得勘定抜きで、誰かを愛して支え合うことができるのか。結婚や家族が力を低下させているのならば、それを補完するような社会システムや人間関係を模索しなければならないと感じています。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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