2013年のたばこ販売動向を振り返ってみる
販売本数・代金共に減少中
健康志向や相次ぐ値上げ、ここ数年ではタスポの導入、さらには震災による供給減により、たばこの販売数は年々減少を続けている。そこでまずは今年一年間の動向を、日本たばこ協会発表の「紙巻きたばこの販売実績」をもとに精査していくことにする。
次に示すのは今年1年(12月はまだ進行中なので11月分まで)における、国内販売分の紙巻きたばこの販売実績を、本数と代金の視点から、前年同月比についてグラフ化したもの。
一部イレギュラー的な動きがあるが、概して軟調に推移。概算ではあるが、11月分までの年間累積値を算出し、前年の同月までの累積と比較した場合、本数ではマイナス2.2%、代金ではマイナス2.4%となる。
直近では2010年10月の大幅値上げと、2011年3月の東日本大地震・震災による出荷調整が大きな影響を与えたが、それ以降は漸次減少という、値上げ以前の状況に戻りつつある。今年1年はほぼその「以前のような漸減状態」に移行したように見える。
漸減傾向はとりわけ若年層におけるし好品としてのたばこ離れ、そして世間全体としての健康志向の高まりに寄る喫煙者の減少に起因するもの。喫煙率の減少は男性において前世紀から継続していたが、本数に顕著な形で現れたのは、今世紀に入ってからとなっている。
見方を変えれば、震災で特異な動きはあったものの、2010年10月の値上げに伴うたばこ禁煙者の増加と売上の上昇傾向は、今年においてはほぼ終息したとも考えられる。
周辺業界の動向と来年以降の見通し
値上げが影響を与える範囲でのたばこ販売の減少加速化効果が無くなった以上、来年以降は今年同様に、年2~3%の範囲で販売本数・代金共に減少を続けていくものと考えられる。
一方、たばこ販売本数・代金に大きな影響を与え得るたばこ代金の引き上げがあるか否かだが、来年4月の消費税引き上げに伴い、転嫁するための値上げは十分考えられる。また上記にある通り「販売価格引上げによる販売代金の上昇や禁煙者増加の効用」はほぼ終わっていることから、来年以降再びたばこ税の引き上げが論議される可能性は高い。
たばこの自動販売機においては、喫煙者の減退、オーナーの高齢化、節電関連での社会的な卑下感によるうしろめたさ、タスポカード導入による購入者の減少、さらにはコンビニに客を奪われることなどで売上は減退しており(「たばこ販売店と自動販売機の推移をグラフ化してみる(2013年)(最新)」)、撤去をする事例が相次いでいる。逆に、増加する要因が見つからないのが現状。稼働している自販機も、販売実績の低迷は顕著で、来年以降もさらに減少していくことは止められまい。
タスポの登場により、奇しくもたばこの購入ルートとして自販機から主役を奪った形となったコンビニだが、現状では売り上げ全体のかなりの部分を占めている。事例として挙げたローソンの場合は、全売り上げの1/4程度にまで至っている。
とはいえ、今年の後半期から売上の減退が確認されていることや、今後成長が見込みにくいことから、売上を支える代替品的な商品をコンビニが続々送り出している(ドリップコーヒーやプリペイドカード、フライヤーなどの惣菜、自社プライベートブランドの食品)現状を合わせ見ると、早ければ来年にも転換期、つまりたばこの販売実績が前年比でマイナスとなる年を迎えることになる可能性はある。
世界的に見ても少なくとも先進諸国においては、たばこの需要は減退の方向にある。社会全体としてのたばこ離れの流れは致し方ない。この傾向は継続すると見て間違いないだろう。
■関連記事: