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台風3号は太平洋高気圧に押され、沖縄から大陸寄りに逆転向か?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風3号の雲の様子(ウェザーマップ)

台風3号は勢力を強め沖縄へ、その後大陸寄りへ

台風3号の予報円(ウェザーマップ)
台風3号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風や熱帯低気圧情報(気象庁発表)

きのう20日(土)午後3時にフィリピンの東海上で発生した台風3号は、発達しながら北上しています。きょう21日(日)午前9時現在の勢力は、中心気圧998hPa、最大風速20メートル、最大瞬間風速30メートルとなっています。

今後も海水温が30度以上ある暖かな海面上で多量の水蒸気を補給しつつ発達し、24日(水)から25日(木)にかけて、強い勢力あるいは非常に強い勢力となって、石垣島など、先島諸島付近を北上する見込みです。強い台風が通過することが多い沖縄でも、かなり手強い台風となりそうですから、暴風、大雨、高波、高潮などに厳重な警戒が必要です。

なお、沖縄付近を北上した後は、東寄りに曲がらず、西寄りに(大陸寄りに)進む可能性が高くなってきました。

太平洋高気圧が押し出し、大陸寄りに逆転向か?

太平洋高気圧と台風3号の予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧と台風3号の予想(ウェザーマップ)

上図は太平洋高気圧と台風3号の予想です。25日(木)朝の段階では、太平洋高気圧が沖縄付近で弱まっているため、このままの状態が続けば、台風3号は東シナ海をまっすぐに北上してもおかしくありませんが、26日(金)昼になると、本州付近から九州の西まで一気に張り出すため、これに押されるように台風3号は大陸寄りへ進む見込みです。

一般に、台風が太平洋高気圧の縁辺を通り、偏西風に乗って、日本付近で東寄りに進むことをよく転向するといいますが、今回の台風3号は、いわば西寄りに(大陸寄りに)曲がっていく、逆転向のようなイメージとなりそうです。

アンサンブル予報でも九州接近はかなり少数派に

アンサンブル予報の気圧と降水確率(ウェザーマップ)
アンサンブル予報の気圧と降水確率(ウェザーマップ)

台風3号が西寄りに(大陸寄りに)曲がりそうなのは、アンサンブル予報でもその傾向が出ています。上図はアンサンブル予報の気圧と降水確率を示したもので、気圧に関していえば、赤い小さな丸が低気圧の中心を表し、この丸が大きいほど、低気圧が発達していることを表しています。(青色の小さな丸は高気圧を示す)

25日(木)午前9時に沖縄付近で赤い丸がまとまっているのは、まさに台風3号のまとまりを表していて、これが26日(金)午前9時には、全体として大陸の近い所へ移動していることが分かります。これは50通りほどの計算結果を表しているものですが、26日(金)午前9時以降、赤い丸が九州に近づく計算はごくわずかで、ほとんどの計算が大陸寄りあるいは東シナ海を大回りして、朝鮮半島方面を指向するようなコースとなっています。

きのうまではもっと九州へ近付く計算も存在しましたが、太平洋高気圧が明瞭に強まる計算が増えたため、九州から遠ざかる計算が圧倒的に増えてきた感じです。

沖縄は大荒れ、今週後半以降の天気は不確実な状態

天気と予想最高気温(ウェザーマップ)
天気と予想最高気温(ウェザーマップ)

沖縄は、台風3号の影響で、あさって23日(火)から風が強まり、24日(水)から25日(木)にかけて、石垣島など先島諸島を中心に、大荒れとなるでしょう。台風3号の進路や勢力によっては、影響が長引き、26日(金)まで荒天が残るおそれがあります。

一方、関東から九州にかけては、猛暑と雷雨(夕立)がセットのような状態がしばらく続き、特に今週前半は、関東の内陸を中心に、40度に迫るような危険な猛暑の所があるでしょう。

また今週後半になると、台風3号に伴って南海上から広がってきた暖湿流や北からの前線帯などの影響を受ける可能性があり、状況次第では、猛暑がいったん、収まる可能性も出ています。なお、まだ梅雨明けの発表がない近畿、中国、九州北部の梅雨明けは、おそらくあす22日(月)までに発表されると思われますが、北陸や東北では、晴れが続く可能性が小さいため、まだ先送りになるかもしれません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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