オランダでアンネ・フランクをデザインしたマグカップ・ネット大炎上で販売中止
オランダの食器会社がアンネ・フランクをイメージした絵を描いたマグカップを2022年12月に販売してネットで炎上していた。
第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。アンネ・フランクはユダヤ人だったために、ナチスからの迫害を逃れてオランダのアムステルダムの隠れ家で約2年間、身を潜めて生活していたが、密告されて1945年にベルゲン・ベルゼン強制収容所で病気で死亡した。アンネが隠れ家生活で思いを綴った日記を戦後、ホロコーストから生き延びた父オットー・フランクが「アンネの日記」として出版し、現在でも世界中で多くの人に読まれている。アンネ・フランクはホロコーストを象徴するような人物で、欧米やイスラエルではホロコースト教育が行われることが多く、小学生の必読書にもなっている。世界中から多くの観光客がアムステルダムの「アンネの家」を訪れている。
炎上商法で話題作りのマーケティングにも活用されるアンネ・フランク
「アンネ・フランクの絵をマグカップのデザインにするのは失礼だ」「不謹慎だ」という声が上がっている。そして販売していたオランダの食器会社はアンネ・フランクの絵のマグカップの販売を停止した。アンネ・フランクをデザインした商品がネットで炎上して販売中止になるのは今回のマグカップが初めてではない。
アンネ・フランクの名前をつけた石鹸、アンネ・フランクが着ていた洋服に似ているコスチュームなど多くのアンネ・フランクのデザインやネーミングをつけた商品が出るたびに炎上していた。
今回アンネ・フランクの絵のマグカップを販売していた食器会社は「決して不謹慎のつもりでやったわけではありません。オランダ人にとってアンネ・フランクは英雄です。ただ残念なことに多くの方を傷つけてしまいました。このようなことになって大変驚いており、申し訳ありません」とコメントをしていた。
アンネ・フランクだけでなく、ホロコーストやナチスドイツに関してのマーケティングは必ず炎上する。ユダヤ人が収容所で着ていた囚人服に似ていたり、ユダヤ人が差別されるために着用を義務付けられた黄色のダビデの星をつけた服など露骨なファッションもある。そのようなファッションは「ホロコーストの犠牲者に対する敬意がない」「生存者や家族が見たら、どのような思いをするのか考えよう」と毎回炎上する。また囚人服やダビデの星など露骨な反ユダヤ的なファッションについては世界中のユダヤ団体やホロコースト博物館、著名人らも反対や商品の撤収をSNSで呼びかけることから、いっそう話題になる。今回のマグカップも炎上をきっかけにネットで拡散され話題になり「かわいいのに、どうしてダメなの?」といった声もあった。
このように毎回ネットで炎上する。だが、それでも懲りずにマーケティング目的で利用されることが多い。そして毎回「ホロコースト関連の商品を販売する」→「ネットで炎上し、拡散される」→「商品を撤収したり、謝罪する」の繰り返しで欧米では過去に何回もあった。一方で、ホロコーストをテーマにした商品は、必ず炎上するので、それによって拡散され、話題になるので知名度を高めたり、サイト内の他の商品を見てもらおうとマーケティング目的で販売されるケースもある。
▼アンネ・フランクのデザインのマグカップ