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八尾空港がオスプレイの離発着訓練に不向きな理由

JSF軍事/生き物ライター
普天間基地と八尾空港の比較

政党「日本維新の会」の橋下徹代表は、大阪市の近郊にある八尾市の八尾空港で在沖縄海兵隊の輸送機MV-22オスプレイの訓練を一部引き受ける提案を行っています。オスプレイが配備されている普天間基地周辺住民の負担を減らそうというものですが、しかし八尾空港は普天間基地以上に市街地に密接している上に敷地が狭く、離発着訓練には向いていません。

普天間基地と八尾空港の比較
普天間基地と八尾空港の比較

左側の図はアメリカ軍の普天間基地環境レビューよりオスプレイのヘリコプターモード時の場周経路です。ほぼ敷地内だけで回り、離発着訓練を行います。日米合意ではオスプレイは市街地上空でなるべくヘリコプターモードにはならないように取り決めていますが、それはヘリコプターモード時の訓練が基地や訓練場の敷地内で出来るからこそ可能になります。しかし八尾空港は狭く、オスプレイのヘリコプターモード時の場周経路が確保出来ません。小回りの効く小型ヘリコプターならまだしも、オスプレイは運用重量が約25トンとヘリコプターの仲間として見るとかなり重い部類に入るので小回りが効きません。八尾空港でオスプレイがヘリコプターモードでの離発着訓練を行おうとすると、盛大にはみ出て市街地の上空を飛ぶ事になってしまいます。

※オスプレイのヘリコプターモードとはナセル角度85度以上の状態を指します。転換モードはナセル角度1度~84度の状態で、日米合意は市街地上空での転換モードでの飛行を制限していません。ナセル角度85度近辺ではどちらのモードか外からでは判別が付かず、誤認されやすいです。飛行モードの制限は安全上というよりは騒音対策で、オスプレイはなるべく騒音が小さな固定翼機モードで飛ぶように運用されています。

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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