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近畿は今週末がアツい!奈良と滋賀で、負ければセンバツアウトのライバルが激突!大阪2強は決勝で対決か?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
奈良では天理と智弁のライバル対決!滋賀も近江と滋賀学園が対戦する(筆者撮影)

 センバツに直結する秋の近畿大会(兵庫・ほっともっと神戸、19日開幕)をめざす各府県大会も終盤に入ってきた。今回は奈良と滋賀が2校、残る4府県からは3校が出場する。したがって、奈良と滋賀は準決勝敗退=センバツアウトを意味するが、両県とも準決勝で「2強」が激突する厳しい組み合わせとなった。週末の5日には重要な試合が各地で行われる。

天理と智弁学園の勝敗は甲子園に直結

 奈良の天理智弁学園のライバル関係は、半世紀以上にも及び、直接対決の勝敗が甲子園に直結してきた。今夏も準々決勝で当たり(タイトル写真)、熱戦の末、5-2で智弁が勝ってそのまま甲子園に出場。本大会でも8強まで勝ち進んだ。今大会は2強のブロックに強豪が集中し、智弁は準々決勝で奈良大付と延長タイブレークの大苦戦を強いられた。一方の天理はここまでの3試合をいずれも大差のコールド勝ちで、準決勝は真価が問われる試合になる。天理は、夏の直接対決に2番手で登板した下坊大陸(2年)が、エースに成長。智弁も前チームから4番を打つ中道優斗(2年)ら主力野手が残っていてハイレベルな攻防が期待できる。

奈良と郡山の文武両道対決にも注目

 もう1試合は奈良郡山の対戦で、こちらは県下を代表する名門校同士。勝者が近畿大会出場となる。郡山は今夏の前チームも4強入りしていて、今秋はタイブレークの死闘を連勝してきた。これまで12回(春6、夏6)の甲子園経験を誇るが、24年前の夏以来、甲子園から遠ざかっていて、名門復活を願うファンの期待を受ける。奈良は33年前のセンバツが唯一の甲子園で、県下の公立ではトップの進学成績。文武両道の両校は熱戦必至だ。

近江への苦手意識を払拭したい滋賀学園

 滋賀は近年、近江の独走状態が続いていたが、今夏は県の準決勝で敗れ、6大会連続の出場を逃した。滋賀学園も毎年のように充実した戦力で近江に迫っていたが、直接対決ではなかなか勝てず、昨秋も決勝で敗れていた。今夏は決勝で、近江を倒した綾羽に勝って、15年ぶりに夏の甲子園切符を手にし、8強入りした。今夏の活躍で一皮むけた感のある滋賀学園が、近江への苦手意識を払拭できるか。滋賀は前チームの成績を引き継いで秋のシードを決めるため、近江(第4シード)と滋賀学園(第1シード)は最初から準決勝で当たる組み合わせになっていたが、両校ともここまで順当に勝ち上がっている。

滋賀学園は甲子園で好投の土田が健在

 滋賀学園は甲子園でも好投した土田悠貴(2年)が健在で、長身右腕の長崎蓮汰(2年)も安定している。ただ野手陣が総入れ替えで守備にやや不安が残り、準々決勝でもムダな失点があった。一方の近江は攻撃力が際立つ。入学早々から4番を打つ箕浦太士(1年)ら、前チームから試合経験を積んだ選手が多く、安定さを欠く投手陣を支えるが、同校の伝統からすれば異色のチームと言える。滋賀のもう1試合は綾羽と滋賀短大付の対戦で、優勝候補の彦根総合を3回戦で破った滋賀短大付の近畿大会初出場なるか、注目したい。

京都では「皆勤校」の山城に注目

 夏の全国王者・京都国際の敗退で波乱含みの京都は、京都国際に勝った京都外大西が準々決勝で立命館宇治に完敗。準決勝は龍谷大平安山城、立宇治-北稜という、強豪私学と公立の対戦となった。この中から3校が近畿大会に出場できる。注目は山城で、全国に15校しかない夏の第1回地方大会から出場し続けている「皆勤校」のひとつ。今夏は皆勤校の大社(島根)が大活躍し、それに山城も続けるか。ちなみに筆者は、昭和57(1982)年秋の近畿大会で山城を見ているが、上宮(大阪)に、無安打無得点で完敗した。この時も兵庫開催で、今秋は東山鳥羽など甲子園経験校を破った実力を発揮して、昭和36(1961)年夏以来の甲子園への足掛かりとしたい。

兵庫は東洋大姫路が高いチーム力を誇る

 ホスト県の兵庫はすでに準決勝を終えていて、東洋大姫路神戸学院大付が決勝進出を決めた。両校は近畿大会出場を確定させている。東洋大姫路は、神戸国際大付と延長タイブレークの熱戦を繰り広げ、4-4の10回に、大量6点を奪って振り切った。速球派のエース・阪下漣(2年)は注目の存在で、野手陣も経験豊富。チーム力はかなり高く、履正社(大阪)で全国制覇の経験がある岡田龍生監督(63)にとっては、母校を率いて初の甲子園も現実味を帯びてきた。3位決定戦は神戸国際大付と古豪の三田学園の対戦で、分厚い戦力を持つ国際に、三田がどこまで迫れるか。

智弁和歌山は総合力が高い

 和歌山は、圧倒的な総合力を誇る智弁和歌山が危なげなく勝ち進んでいる。前チームからエースだった渡辺颯人(2年)が健在で、打線も入学早々から主軸を打つ松本虎太郎(1年)ら、下級生の成長が著しい。準決勝はこの智弁和歌山と日高市和歌山和歌山東の顔合わせで、近年の和歌山で上位に名を連ねるチームが揃った。和歌山は3校が近畿大会に出場できる。

大阪桐蔭と履正社は決勝まで当たらない組み合わせに

 大阪は5日に準々決勝が行われる。8強に公立は残れなかった。対戦カードは以下の通りで、準決勝はA-B、C-Dとなる。

 A・早稲田摂陵大阪学院大付

 B・大阪桐蔭関大一

 C・履正社上宮太子

 D・初芝立命館近大付

 「大阪2強」の大阪桐蔭と履正社は決勝まで当たらない組み合わせとなった。注目は大院大高で、春に2強を連破して脚光を浴びた。夏は初戦で敗退しているが、新チームとなっても2強にどこまで迫れるか。前チームで2強に次ぐ実力だった興国は、5回戦で履正社に0-2で惜敗した。

近畿大会は組み合わせ次第

 近畿はレベルが高く、仮に府県で1位になっても、強い下位校と当たってしまえばメリットはない。逆にセンバツ出場枠が「6」とかなり多く、1勝して8強入りすれば選出の可能性がある。組み合わせに大きく左右されるということも付け加えておきたい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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