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NY原油11日:IEAは需要予想引き上げも、OPEC増産を嫌気

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比0.66ドル安

始値 61.14ドル

高値 61.53ドル

安値 60.21ドル

終値 60.77ドル

国際エネルギー機関(IEA)が石油輸出国機構(OPEC)の大規模な増産圧力を報告したことが嫌気され、反落した。

IEAの6月月報では、2015年の世界石油需要が前年比+140万バレルの日量9,400万バレルと報告された。前月の+110万バレルからの大幅な上方修正であり、世界経済の回復と原油安が需要拡大を促している可能性が報告されている。これは間違いなく原油相場にポジティブな動きだが、それと同時にOPECの5月産油量が日量3,133万バレルと2年9ヶ月ぶりの高水準に達した報告されたことが嫌気され、原油相場は総じて売り優勢の展開になっている。

需要拡大やシェールオイル生産鈍化といった動きがみられるが、OPECの大量供給がその効果を相殺していることが、原油価格の上値を圧迫しているとの分析である。ここ最近の原油高についても、製品供給トラブルの影響を報告しており、こうした特殊要因の影響が排除されれば再び原油相場が緩むリスクが指摘されている。特にサプライズ感のある報告内容ではないが、本日は為替相場がドル高に触れたこともあり、戻り売り圧力が優勢になった。

最近は、「国際需給の緩和見通し」で売られ、「米国内の在庫取り崩し観測」で買われる、不安定な値動きが続いている。ドル相場が方向性を欠いていることも、原油相場に対する戻り売り圧力を一服させている。もっとも、ドル高回帰、国際需給緩和の流れには変化がないと考えており、60ドル水準は売り場との評価を維持している。ドル反落リスクには注意が必要だが、このままドルが急落前の高値水準を回復すれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。IEA月報は、少なくとも需給要因からは原油価格が本格上昇する必要性が乏しく、寧ろダウンサイドリスクが警戒されることを改めて示している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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