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認知症になっても【こころ穏やかに過ごせる方法3選】介護福祉士が漫画でわかりやすく紹介

こんにちは。認知症のケアサポーター『夢 はるか』です。わたしはデイサービスや訪問介護の現場で15年以上働く介護福祉士です。
介護の仕事をしながら、子どもの頃から好きだった漫画を描くことを通して、一人でも多くの人に、認知症や介護のことを知っていただけたらと思い、Yahoo!ニュースへの寄稿を続けています。

「いつか、自分もそうなるかも」

ある程度の年齢の人なら、書店に並ぶ

『認知症にならない・・』

などのタイトルに惹かれて、つい手が伸びる。

そんな人も少なくないと思います。

あるいは、親の介護の真っ只中で

「これ以上ひどくなったらどうしよう」

と切実な思いから、情報を求める人もおられるでしょう。

わたしが老人介護の仕事を通して、たくさんの認知症の人と関わらせていただいて感じるのは、

「認知症になっても大丈夫。なんとかなるよ!」

ということです。

「そうは言っても…」

とまだ心配なあなたへ。

今日は、『認知症になっても、こころ穏やかに過ごせる具体的な方法』を、いつものようにイラストを交えながら、順にご紹介します。

1.『できないこと』よりも『できること』を見つける

認知症になっても、いきなり全てが分からなくなるわけではありません。

長年培ってきた経験や技能は、自然と体に染みつき残っています。

これを『手続き記憶』といいます。

わたしが前に勤めていたデイサービスの出来事です。

そこでは、お年寄りが若い頃に身につけた裁縫の技術を活かして、ぬいぐるみ作りを行なっていました。

5分前のことは忘れる人でも、針と糸を手に取ると、あっという間に縫い上げてしまいます。

毎回、手作りの可愛いぬいぐるみをデイサービスから持って帰るので、お孫さんたちが楽しみにしているそうでした。

また、90歳を超えた物忘れの激しい女性でしたが、毎年収穫の時期になると果樹園の手伝いに呼ばれる人もおられました。

等級別に果実を選別する作業が、若い人には真似できないくらい速くできるそうです。

このように認知症になっても、その人の技術を活かして人の役に立てることがあります。

認知症になると『できないこと』ばかりに目がいきがちですが、『できること』を探してみましょう。

2.隠さず伝える

認知症の物忘れが進むと、大事なものをなくしたり、約束をすっぽかしたり、日常の失敗が増えてきます。

そんなとき、「失敗はなかったことにしよう」と、取りつくろいを始めてしまうことがあります。

プライドが邪魔して、なかなかできない人もいると思いますが、失敗を隠さずに伝えることも大切です。

失敗は隠さないで早く伝えたほうが、ずっと気持ちが楽になります。

プロの介護職であれば、失敗を馬鹿にする人はいません。

多くの家族は認知症になった親のために、できるだけ良いことをしたいと思っているはずです。

認知症が原因の悪気のない失敗でも、隠したり、ウソをついたりすると、

「意地悪している」

と誤解され、人間関係をこじらせる原因になります。

3.がんばりすぎない

「認知症にならないように、認知症が進まないようにがんばる!」

そう決心して、脳トレや運動に励むのは素晴らしいことです。

しかし、ストレスになるほど頑張りすぎると逆効果になるかもしれません。

そして、家族介護も『がんばりすぎない』ことが大事です。

認知症の発症によって、どうしても日々のストレスは増えていきます。

それは、本人も家族も同じです。

「このままでは、ダメだ…」

そう思ったら、ためらわずに誰かに助けを求めましょう。

かかりつけ医があれば、そこから専門医を紹介してもらうことができます。

地域包括支援センターは、全国すべての市町村に設置されており、困りごと相談や介護サービスを紹介してもらうことができます。

「いつまでこんなことが続くのだろう」

「これからどうなるのだろう」

認知症介護の先が見えないと、誰もが不安になります。

でも、自分一人で抱え込まなくて大丈夫。

あなたの周りにも、きっと助けてくれる仲間がいますよ。

介護福祉士として通所介護(老人デイサービスセンター)や訪問介護(ホームヘルパー)の現場で働いてきました。研究会での発表や、学術誌へのケースレポートの投稿なども積極的に行なっています。また、子どもの頃から好きだった漫画やイラストを描くことで、認知症の知識や介護のコツをわかりやすく伝えることを心がけています。

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