オートバイのあれこれ『ホンダ渾身の400マルチ・CBXとCBR』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『ホンダ渾身の400マルチ・CBXとCBR』をテーマにお話ししようと思います。
1980年代の初め頃、日本のバイク市場は400マルチ(400ccの4気筒)ブームに沸きました。
今回は、その400マルチブームの一角を担ったホンダのモデルを2つご紹介しましょう。
◆CBX400F
当時のブームを語るうえで外せないのが、このCBX400Fでしょう。
現在も、(とくに絶版バイクファンの間では)ひじょうに人気の高いオートバイですね。
カワサキ『Z400FX』、ヤマハ『XJ400』、スズキ『GSX400F』がすでに登場していた1981年(昭和56年)11月、CBXは4メーカー中最後発の400マルチとしてデビューを果たしました。
最も遅く出てきた(=後出しジャンケンの)400マルチらしく、その各部ディテールはライバル車を完全に凌ぐ最新鋭・最先端のものとなっていました。
新設計のDOHC4バルブエンジンは、81年末時点でクラストップの48psを発揮。
また、ホンダ独自の最新技術(『プロリンクサスペンション』『インボードディスクブレーキ』等)も盛りだくさんで、CBXの“先進っぷり”はライバル車たちがついつい「旧世代のオートバイ」に感じられるほどのものでした。
言うまでもなくCBXはそのディテールで以て大人気を博し、ライバルを打ち負かすことに成功。
400マルチ同士の対抗戦はもちろんCBXの登場以降も続くわけですが、Z400FXから始まった400マルチ・ウォーズに一旦のケリをつけたのは、このCBX400Fだったといえるでしょう。
◆CBR400F
今ピックアップしたCBX400Fの後継モデルとして1983年(昭和58年)に現れたのが、『CBR400F』でした。
こちらもCBX同様、現在ではトップクラスの人気絶版車としてプレミア扱いされています。
先述のとおり、CBXも当時としては画期的な1台だったわけですが、CBRはそこからさらに時代が進んだ設計が施されていました。
ステアリングヘッド(ハンドルの付け根)とスイングアームピボット(スイングアームの付け根)が直線に近い形で結ばれるレイアウトのフレーム等も見どころではあったものの、CBRならではのポイントはやはり、エンジンに内蔵されていた『REV』システムでしょう。
『REV』とは「Revolution Modulated Valve Control(回転数応答型バルブ休止機構)」の略称で、エンジンの回転数に応じて稼動する吸排気バルブの数が変わるシステムです。
高回転時には全バルブ(気筒あたり4バルブ)が作動する一方、低回転時には気筒あたり2バルブのみの作動となり、こうすることで吸排気量をコントロールしピークパワーと低中速トルクを両立していました。
そしてこのREVはそうしたメカニズムだけでなく、走行中に2バルブから4バルブへ切り替わったことが体感できるという“感覚”の部分も一般ライダーを惹きつける要素となり、REVは結果的にCBRの大きなセールスポイントとなったのでした。
その他、当時流行り始めていた16インチの前輪、ホンダオリジナルの『NSコムスター』ホイールなども備えており、CBRはこの後のレーサーレプリカへとつながる過渡期の存在だったといえるでしょう。