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オートバイのあれこれ『ウォーターバッファロー。』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今回は『ウォーターバッファロー。』をテーマにお話ししようと思います。

ホンダ『CB750FOUR』のデビューをきっかけに盛り上がったナナハン(750cc)ブーム。

そのブームに乗じてスズキがリリースしたのが、「ウォーターバッファロー」こと『GT750』でした。

▲GT750〈1971/画像引用元:スズキ〉
▲GT750〈1971/画像引用元:スズキ〉

先に「ウォーターバッファロー」の由来を記しておくと、GT750は当時としては珍しい水冷(=ウォータークールド)エンジンを搭載しており、また車体が牛のごとく迫力あるサイズに仕上げられていたことから、こう呼ばれました。

そんなGT750が登場したのは、1971年(昭和46年)のこと。

ホンダCBの4気筒エンジンに対抗すべく、スズキは“御家芸”の2ストロークエンジンをベースに、水冷並列3気筒ユニットを開発。

これをビッグバイクらしい風格ある車体に載せ、GT750は世に放たれました。

一般的に、2ストのバイクというのはエンジン構造がシンプルな分、4ストのバイクよりも車重が軽量に仕上がることが多いのですが、GT750はラジエター等の水冷システムがアダとなって4ストのCBと変わらない車重となっていました。

▲水冷エンジンは画期的だったものの、ラジエターなどにより重量増を招いた
▲水冷エンジンは画期的だったものの、ラジエターなどにより重量増を招いた

そのヘビーなボディを、CBより1.6kg-mも強い7.7kg-mの図太いトルクで突き動かすGTの走りは、まさにバッファロー的。

「ウォーターバッファロー」という呼び方は、このGT750にドンピシャだったといえるでしょう。

▲放熱フィンの無い「ツルン」とした外観が特徴
▲放熱フィンの無い「ツルン」とした外観が特徴

ちなみに、日本の市販オートバイで水冷エンジンが用いられたのは、このGT750が最初。

スズキといえばやはり80年代の油冷エンジンが有名ですが、実は水冷エンジンにおいてもパイオニア的な役割を果たしたのですね。

そしてまた“水冷・2スト・並列3気筒”というエンジン形式も、これまでGT750以外には使われてきていません

“空冷・2スト・並列3気筒”であれば、弟分の『GT380』やカワサキの『マッハ』シリーズ等にも採用例があり、また、シリンダーの並び方の縛りを外せば、ホンダの“水冷・2スト・V型3気筒”(『MVX250F』に採用)はあったものの、「水冷2ストパラ3」は依然としてGT750のみに使われたパワーユニットとなっています

▲カワサキ・500SSマッハⅢの空冷2スト3気筒エンジン
▲カワサキ・500SSマッハⅢの空冷2スト3気筒エンジン

GT750はスズキのフラッグシップモデルとして一定の支持を集めますが、やはり当時はホンダCBとカワサキZに人気が集中しており、また2ストエンジン自体が環境性能の観点から世間的に肩身が狭くなりつつあったことで、GT750は後継の4ストモデル『GS750』にバトンをつなぐ形でフラッグシップの座を退くこととなりました。

現在は、GTシリーズの中で最も人気の高いサンパチや、ホンダCB&カワサキZほどではないにせよ、GT750もプレミア車として高価格で取引されているようです。

▲実車を見ると、迫力満点!
▲実車を見ると、迫力満点!

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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