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名将の思い出作り!? バッテリーと内野陣は5年前のワールドシリーズ第7戦と同じ。対戦相手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
バスター・ポージー(左)とマディソン・バムガーナー OCT 29, 2014(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月17日、サンフランシスコ・ジャイアンツはカンザスシティ・ロイヤルズと対戦した。その際、ジャイアンツでは、マディソン・バムガーナーバスター・ポージーが先発バッテリーを組み、内野は一塁から反時計回りに、ブランドン・ベルトジョー・パニックブランドン・クロフォードパブロ・サンドバルの4人が先発出場した。

 この布陣は、5年前にジャイアンツがロイヤルズを破り、ワールドチャンピオンになった時と同じだ。2014年のワールドシリーズ第7戦は、中2日――第5戦は完封――で5回裏から登板したバムガーナーが、5イニングを被安打2本に封じ、1点差のまま逃げきった。

 今回のバッテリーと内野陣は、たまたまそうなったわけではない。この起用について、サンフランシスコ・クロニクルのヘンリー・ショルマンは、試合の数日前にツイートしている。2月に「名将が今季限りで勇退。通算2000勝に到達できなくても、殿堂入りは間違いなし」で書いたとおり、ブルース・ボウチー監督(ジャイアンツ)は今シーズン限りで引退する。思い出作りといったところだろうか。

 外野陣とDHも再現したかったのかもしれないが、4人とも現在のジャイアンツにはいない。センターのグレガー・ブランコはニューヨーク・メッツ、ライトのハンター・ペンスはテキサス・レンジャーズに在籍している。レフトのホアン・ペレスはメキシカン・リーグにいて、DHのマイク・モースは引退した。

 そもそも、5年後にバッテリーと内野陣が揃うだけでも、稀有なことかもしれない。ワールドシリーズ第7戦に出場したロイヤルズの13人中、今もチームにいるのは、アレックス・ゴードンサルバドール・ペレスの2人だ。ジャイアンツの6人のうち、5人はプロ入りから球団一筋に過ごしてきたが、サンドバルは2014年のオフにFAとなってボストン・レッドソックスと契約し、2017年の夏に解雇されてジャイアンツへ戻ってきた。

 続いて、3月22日のロイヤルズ戦も、バムガーナーは先発マウンドに上がったが、ポージー、パニック、クロフォードの3人は、この試合に出場しなかった。一度きりというところに、スマートさを感じる。

 もっとも、ワールドシリーズ優勝のバッテリーと内野陣を再現することはできても、ワールドシリーズ優勝を再現し、ボウチー監督の花道を飾るのは難しそうだ。今シーズンが終わるとFAになるバムガーナーは、ボウチー監督がユニフォームを脱ぐより前に、違うチームのユニフォームを着て投げていてもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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