Bluetooth 4.2から見るモバイルとウェアラブルの未来
Bluetoothはパソコンやスマートフォン、タブレットなどが他のデバイスと接続することができる無線規格で、ワイヤレスヘッドフォンやワイヤレスキーボードなどのアクセサリを中心に使われてきました。
以下は、Bluetooth 4.2について紹介しているウェブサイトです。
・Bluetooth Now Smarter and Faster to Enable IoT | Bluetooth Technology Website
新しいバージョンは、Bluetooth 4.2。以下に、主な変更点をまとめました。
- より高速な接続- これまでの2.5倍のスピードに対応し、接続数も10倍に向上
- GATTプロファイル- 自由度の高いネット接続のプロファイルをサポート
- IPv6/6LowPANのサポート- IoTなどを省電力ワイヤレスネットワークでネットワーク化できる
- セキュリティ向上- プライバシー性向上と、通信の暗号化をサポート。
- 省電力性- これまでよりもバッテリ効率をさらに高める
といった具合です。
Bluetoothが切り拓いたテクノロジーの使い方とは?
携帯電話のワイヤレスヘッドセットや、PDAとパソコンのデータの同期などに使われてきたBluetooth。最近では前述の通り、キーボードやイヤホンの無線化に一役買っている身近な技術でした。
このBluetoothの進化によって、いくつかの新しいテクノロジーの局面が切り拓かれました。
その1つは、ウェアラブルデバイスです。センサー内蔵のブレスレットのような形のデバイスは、バッテリーとセンサー、Bluetoothを内蔵して、スマートフォンに計測した運動のデータを送ることができます。
また、物のインターネットといわれるIoT(Internet of Things)のデバイスは、ただBluetoothの電波を発する小さな機器(ビーコン)を店舗や街に設置して、スマートフォンを持った人がそこにいるかどうかを判断し、情報提供を行うことができます。
Bluetooth SMART(Bluetooth LE)は超低消費電力がウリで、例えば店舗に設置するビーコンや、自転車の車輪やペダルの回転の計測情報を送る際、ボタン電池1つで年単位の動作が可能です。これによって、スマートフォンに情報を送り続けるデバイスが容易に作れるようになりました。
Bluetooth 4.2がサポートする未来
Bluetooth 4.2は今年アナウンスされた規格ですので、これらに対応したスマートフォンやタブレットなどのデバイス、ソフトウェアが登場するのは来年以降になるとみられています。
汎用技術なので様々な用途を自由に考えることができますが、私が期待しているのは、「スマートフォンを持っている自分の周りのパーソナルネットワークの構築」です。
高速なネット接続のサポートと6LowPANの2つの技術は、スマートフォン(を持っている自分)を中心とした物や環境のネットワーク構築と、ネットにつないだ活用がしやすくなると考えられます。
ポケットに入っているスマートフォンと、これまで通りワイヤレスヘッドフォンやタブレットが接続されていますが、例えば靴に仕込まれたセンサーや、自転車のセンサーが接続されているとどうでしょう。スマートフォンのネット接続とGPS情報から、自転車のギアが最適にセレクトされるなんていう技術も考えられます。
自転車がスマホのセンサーを使いながら、ネットにつながったという感覚でしょうか。
あるいは、最近Bluetooth接続の酒気帯び検査ツールが登場していますが、クルマとスマートフォンが接続されカギのような活用がなされている場合、このBluetooth酒気帯び検査ツールに息を吹き込んで合格しなければエンジンがかからない、という仕組みも、無線でより自由度高く作ることができるでしょう。
これまでのウェアラブルデバイスは、「デバイスを身につける」というアイディアでしたが、Bluetooth 4.2によって、身の回りの多数のデバイスを簡単にIoTデバイスに変え、自分のためにこれらが連携してくれる、「ネットワークを身につける」という感覚に変わっていくのではないでしょうか。