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フランスの冷食商品大手Picard「ピカール」の単独店がオープン、冷凍食品の更なる拡がりとなるのか?

池田恵里フードジャーナリスト
(写真:アフロ)

冷凍食品の先進国フランスから日本に進出

イオンでは、2年前の2014年、フランスの冷凍食品大手「ピカール」と提携を結び、日本国内でピカールの商品を販売する独占権を獲得。ピカールの商品を一部の店舗で陳列し、業界内で話題となった。そのピカールが今回、単独店として11月23日、青山の骨董通りにオープンした。

冷凍食品先進国のフランスのなかでも最大手のピカール

さてピカールは、既に約1000店舗をヨーロッパで展開している。元々、氷製造・配達業だったが、1974年でパリに冷凍専門スーパーの一号店をオープンさせた。その後、パリ中心に集中的に出店し、店舗数を増やした。非上場企業であるため、売上は公開されていないが、今回提携したイオンは勿論のこと、セブン&アイ、そしてヤオコーがベンチマークすることでも知られている。

驚くことに店舗内のほとんどが冷凍食品の扱い数が1000品目あり、その95%はPB商品となっている。オープンされた日本の一号店は絞り込みがなされているという。

フランスは冷凍食品先進国と言われ、この他にイギリスも先進国とされる。イギリスではフリーザーフード・センター、つまり冷凍食品を専門的に販売するセルフサービス店がある。中でも大手「アイスランド」の店舗数も調べると、830店舗以上あり(2014年の調べ)、ピカールとの違いは、冷凍食品の扱う数が概算ではあるが売り上げ構成比50%ということ。そして低所得者層をターゲットにしている。イギリスの多くの家庭では専用の冷凍庫があり、その普及率は高く、低所得者層の人々にとって、まとめ買いすることが可能でロスも少ない。一方、ピカールは試食した感想は、パーテイーでもそのまま出せるおしゃれな容器に入った冷凍食品である。そのため価格も若干高めである。

例えば

モアローショコラ2個700円(本体価格)
モアローショコラ2個700円(本体価格)

出典: https://www.aeonshop.com/shop/g/g010500000590203270160422234

口に含むと、上質なショコラを使用していることがすぐさまわかり、濃厚な仕上がりで納得できる。しかしやはりこの価格、そして通常レンジアップに慣れてしまっている日本人とって、オーブン機能がレンジに付いていても、オーブンでの調理は使い慣れておらず、手間と捉えられがちになり、今の忙しい人にニーズがあるのか正直、難しいかもしれない。

今回、オープンした青山の骨董通りを皮切りに中目黒、そして麻布十番に出店される予定だが、その立地をみて、ふと価格高めの弁当やパーテイー料理のデリバリーを手掛けている社長の言葉を思い出した。

「パーテイーを家庭でするというのは、東京でアッパー層には浸透しているのですが、関西ではアッパーであってもまだまだでして・・・うちの場合は、拡大が見込めるエリアは、政令指定都市だと思ってはいるのですが、なかなか・・・」

既に単身者は急増し、人口の3割となっている、そのためもあって冷凍食品の利用頻度は高くなっている。とはいえ、単身者の冷蔵庫を以前、調査したが、日本の住宅事情もあって、冷蔵庫はおのずと容量の小さいものを購入している人が多く見受けられた。つまり冷凍スペースも小さいのだ。たとえ冷凍食品を購入する頻度が増えているとしても、容量を考えると商品が入れやすいパッケージなのか、商品の内容そして綺麗なデコレートされたトッピングを見ると崩れないかなど、欲しくても考えてしまう顧客もあるかもしれない。

既にスーパー、コンビニでも冷凍食品に注力

さて他のスーパー、そしてコンビニを見てみると、一例を挙げると、福島のヨークベニマルの冷凍売り場では、PB商品の品揃えの豊富さ、商品力にも目を見張るものがあり、しかも価格も日常使いの対応となっている。商品に記載している作り方をそのまま忠実に作ると満足できる仕上がりとなっており、勿論、ピカールと同様、冷凍であるがゆえに優しい味である。

コンビニでも大手3社は冷凍食品に力を入れている。セブンーイレブンでは2013年から冷凍ケースを既に拡大し、その商品力は業界内でも高いとされる。例えばPB商品の100円の餃子は安く、レンジアップで程よく焦げ目がついており、エビチリも高級店で頂く仕上がりである。ローソンでは今年に入って7500店舗を対象に冷凍平台ケースを導入し、ファミリーマートでも冷凍平台ケースを6500店舗既に導入している。

ということで、これまで冷凍食品のイメージと言えば「弁当のおかず」から、冷凍食品そのものが次なるステージに既に向かっているのだ。

海外から日本進出の難しさ

これまでも海外の食品が日本に上陸することが多々あった。しかしその多くは難しく撤退の憂き目にあった。なかでも惣菜の開発が難しいとされ、売上に繋がりにくいのが洋風である。理由の一つにベースの濃厚な味付けからリピートされない、そしてスープも動物性を使用されることが多く、文化の違いから、頻度が高まらなかった。何といっても日本の気候、湿度はフランスとは違うため、おいしさの感じ方が変わる。そんななか、ピカールの冷凍食品がどこまで日本に拡げられるか、そして新たなる冷凍食品の使い方が日本人に定着するのか、興味深い。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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